「飽きずに乗り続けられるクルマに出合えたこと自体が、一番大事な宝物」【1】1972年式 日産 スカイライン HT 2000 GT-R

フロントまわりはあまり年式を感じさせないオーナーのGT-R。わずかに残るフロントの小傷は、現役で走り続けていることの証明でもある。

       
浜松市在住のオーナーが所有する1972年式ハコスカGT-Rには、特別な思い出が込められている。2016年に惜しまれつつ亡くなったGT-Rの名匠・白石茂樹さんが、生前に入念なバランス取りを行ったS20型エンジンを搭載。以来ノントラブルを貫く、GT-Rの「鏡」とも呼べる1台なのだ。

【 1972年式 日産スカイライン ハードトップ 2000 GT-R Vol.1】

 免許を取得する前からのあこがれだったハコスカGT‐Rを、念願かなって購入。以来、二十数年間にわたって所有しているオーナーは、「飽きずに乗り続けられるクルマに出合えたこと自体が、一番大事な宝物」と語る。

 地元の浜松で複数オーナーに所有されてきた経歴を持つGT‐Rを、縁あって購入することができたオーナー。長く安心して乗るためにはエンジンをオーバーホールしておきたいと考えていた。以前から雑誌などを通じてその存在を知り、「ぜひこの人に作業をお願いしたい」と常々願っていたのが、愛媛県今治市にある「シライシエンジニアリング」の白石茂樹さんだった。

 オーナーが白石さんと初めて会ったのは1997年のこと。お店に直接電話をしたところ、ちょうど富士スピードウェイで走行会があるので、よければ御殿場のホテルでお会いしましょうという段取りになったそうだ。オーナーは当時をこう振り返る。

「白石さんは前評判では気難しい人だと聞いていたんですが、実際お会いしたらそんなことはなくて、同じGT‐Rが好きな者同士、いろいろな話をすることができました。『整備屋』というより『エンジニア』という言葉がしっくりくる、とても信頼の置ける方でしたね。GT‐Rに関しては本当に揺るぎない、絶対的自信を持っている方だったと思います」

>> 【画像23枚】シライシエンジニアリングでオーバーホールされたS20型エンジンなど。部品は基本的に純正のままだが、マル秘のノウハウを駆使し、壊れず、安心して性能を引き出せる状態へチューニング



【2】に続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2018年6月号 vol.187
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1972年式 日産スカイライン ハードトップ 2000 GT-R(全3記事)

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text : MITSUOU NOMURA/野村充央 協力 : 全日本ダットサン会歴史研究部 資料提供 : 日産GT-RC30クラブ、野村充央

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