【初代C30ローレルの軌跡 4】プリンスで開発されたG型、そのなかでもローレル専用となったG18型エンジン

1970年6月に登場したハードトップのコクピット

       
ハイオーナーセダンを目指して日産自動車が開発、1968年3月に発表、翌4月に発売された初代ローレル。C30の型式名を持つこのセダンが2018年に発売50周年を迎え、その軌跡をノスタルジックヒーロー本誌で記録するために、日産ローレルC30クラブの野村充央さんに寄稿していただいた原稿を、55周年の今、Nosweb.jpでも7回に渡って連載する。

【 初代C30ローレルの軌跡 Vol.4】

【3】から続く

 C30ローレルに搭載されるエンジンは、当初510ブルーバード用に開発されていたL13型エンジンをモディファイしたL18型を搭載する予定で企画されていたが、日産とプリンスの合併によって、生産工場が追浜から村山に変更されたことに伴い、プリンスで開発されたスカイライン用G15型をベースとしたG18型をローレル専用エンジンとして搭載することになった。

 G18型のベースとなったG15型の設計目標は、1500cc級として出力性能、経済性、信頼性、小型軽量、静粛性、メンテナンスフリーなどが国際的に最高レベルであることとされ、それまでのプリンスのエンジン技術の蓄積をすべて織り込んだ、本格的高性能量産型エンジンとして企画開発された。FG4A型→GR1A型、G7型→GR7A&B型、並びにGR8型など、各エンジンの開発・チューニングの過程において得られた、性能、耐久性、信頼性などにかかわるあらゆる技術知見が集大成され、設計に取り入れられた。

 このエンジンは本当に生まれながらにして、素質の良い、優れたエンジンであった。当時として最先端の、SOHC、V型配列2バルブ、クロスフロー吸排気、アルミ合金シリンダーヘッド、鋳鉄ウエットシリンダースリーブ式ブロック、クランクシャフト5主軸受け方式などの採用により、高い出力性能と高速での信頼性の確保が見事に実現された。

 S57スカイラインのカタログ値は、当時としては高出力な88㎰/6000rpmと記載されている。だが実力はすでに90㎰/6000rpmを超えており、その後C10スカイライン搭載時には、カタログ値95㎰/6000rpmとなっている。

 G18型はG15型の基本構造を踏襲し、ボア×ストロークを82×70.2mm=1483ccから 85×80mm=1815ccとして排気量アップを図ったもので、他は全く同一系列のエンジンである。ちなみに基本的にはG15型開発玉成実験の各項目と手順を適用して開発を行っている。

 日産とプリンスとの初めての共同開発となり、特に連携を密に開発が行われた。車載上の課題解決や通常のテストコースでの走行実験はもちろんのこと、冬季の北海道で実施された耐寒試験では、鶴見と荻窪の開発部隊が行動を共にした。

 エンジンの開発と車両への適合作業は順調に進み、G18型は1968年4月にハイオーナーカーを狙いとする新型車C30ローレル用のエンジンとして誕生した。さらに1970年6月発売のハードトップに搭載されたG20型は、G18型のボアを85mmから89mmとして排気量をアップ。最上級グレードの2000GX用にはSUツインキャブを装着し、カタログ値125ps/5600rpmとした。


>> 【画像28枚】コンビカラーとなっていた2ドア・ハードトップのインテリアなど




1970年6月に登場したハードトップ。ボクシーなスタイリングで人気を博していたセダンから一転、伸びやかなルーフを持ち、開放的な視界が楽しめるハードトップは、ローレルの新たなオーナーカーとしての魅力を、見事に表現していた。



【5】に続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2018年6月号 vol.187
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

初代C30ローレルの軌跡(全7記事)


関連記事:ローレル



【1】【2】【3】から続く

text : MITSUOU NOMURA/野村充央 協力 : 全日本ダットサン会歴史研究部 資料提供 : 日産ローレルC30クラブ、野村充央

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