【初代C30ローレルの軌跡 2】DATSUNのシャシーにPRINCEのエンジン技術が融合! 合併によって生まれた一台

1968年4月に発売された新型車、ローレルセダン。最初期モデルはワイパーアームが対向リンク式、通称ケンカワイパーとなっているのが見分けるポイント

       
ハイオーナーセダンを目指して日産自動車が開発、1968年3月に発表、翌4月に発売された初代ローレル。C30の型式名を持つこのセダンが2018年に発売50周年を迎え、その軌跡をノスタルジックヒーロー本誌で記録するために、日産ローレルC30クラブの野村充央さんに寄稿していただいた原稿を、55周年の今、Nosweb.jpでも7回に渡って連載する。

【 初代C30ローレルの軌跡 Vol.2】

【1】から続く

 C30ローレルは、DATSUNのシャシーにPRINCEのエンジン技術が融合され、それは、まさに日産自動車とプリンス自動車工業の合併が生んだ奇跡の一台だ。DATSUNシャシー技術は、戦後の日本の悪路での走破性、海外ラリーでの経験などにより鍛えあげられてきた。これに、セミトレーリングアーム式4輪独立サスペンション、切れ味のいいラック&ピニオン式ステアリングを新機構として盛り込んだ欧州車的組み合わせは、現代のクルマと比べても遜色ない完成域に達していた。

 PRINCEのエンジン技術は、旧中島飛行機の流れをくむエンジニア集団により受け継がれた基本技術をベースに、日本グランプリなどへの参戦で得られたレーシングエンジンテクノロジーが市販車用エンジンにフィードバックされている。スカイライン2000GT‐R、フェアレディZ432に搭載されたS20型エンジンが、プリンスR380のエンジンを参考にして開発されたエンジンであることはよく知られている。ローレル用のG型エンジンもまた、第3回日本グランプリで特殊ツーリングカー部門に参戦したスカイラインGT用のGR7B型エンジン(クロスフローヘッド)をベースに開発された。

 DATSUNシャシーとPRINCEエンジンという絶妙の組み合わせの存在は、C30ローレル系とPS30フェアレディZ432に限られる。S30系は、北米での240Zの大ヒットにより、「和製ポルシェ」ともうたわれ、日本のスポーツカーとしての名声を築いた。C30ローレルは、「和製BMW」と言っても過言ではない、素晴らしい仕上がりのセダンであったが、ほぼ国内専用車であったがゆえに、当時は、未成熟な日本の自動車文化の中で、欧州テイストのセダンが高く評価されるまでには至らなかった。

 個人的な妄想として、もしC30ローレルの欧州車的な味付けを当時の日本のユーザーが絶賛し、プリンス製エンジンと共に長く醸成され続けたならば、現代において欧州製セダンを凌駕する生粋のNISSANブランドのセダンが存在していたのかもしれない。


>> 【画像18枚】プリンスがルーツとなる4気筒SOHCのG18型エンジンなど



1968年4月に発売された新型車、ローレルセダン。最初期モデルはワイパーアームが対向リンク式、通称ケンカワイパーとなっているのが見分けるポイントとなる。




【3】に続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2018年6月号 vol.187
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

初代C30ローレルの軌跡(全7記事)


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【1】から続く

text : MITSUOU NOMURA/野村充央 協力 : 全日本ダットサン会歴史研究部 資料提供 : 日産ローレルC30クラブ、野村充央

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