フランクフルトショーから東京に凱旋したMID4。技術の粋を集めたコンセプトカーを数多く出品した日産|第26回 東京モーターショー 1985 日産編【2】

日産MID4

       
【 第26回 東京モーターショー 1985 日産 Vol.2】

【1】から続く

 10月に開催された第26回東京モーターショーに、日産は技術の粋を集めたコンセプトカーを数多く出品し、技術展示も華やかだった。来場者の視線を釘付けにしたのが、ミッドシップ方式に4輪駆動と4輪操舵システムを組み合わせたスーパースポーツカー、MID4である。このショーの直前のフランクフルトショーでワールドプレミアを行い、東京に凱旋した。
 エクステリアはスーパーカー然としたルックスで、ヘッドライトはお決まりのリトラクタブルである。一段高いところに真っ赤なMID4が展示され、その横にメカニズムをさらけ出したカットモデルを並べた。リアに搭載するのは、3LのVG30DE型 V型6気筒DOHCだ。その後方に十分な荷物収納スペースがあったから、多くの人は発売を待ち望んだ。また、トリコロールカラーをまとった、レーシング仕様のMID4も置かれている。

 このMID4とともに話題を集めたのが、大型のプレステージサルーン、ニッサンCUE‐Xだ。伸びやかなシルエットとルーミーな6ライトウインドーの4ドアセダンで、4シーターのキャビンも機能的なデザインだった。駆動方式はフルタイム4WDで、4輪操舵の4WSも採用している。このショーカーに搭載されていたのは、MID4と同じ3LのV型6気筒DOHCだ。インタークーラー付きターボを装着し、余裕ある走りを実現する。
 電子制御エアサスペンションの採用も注目を集めた。この進歩的な設計のCUE‐Xは、4年後のデトロイトショーでベールを脱ぐインフィニティQ45のコンセプトモデルだったことが、後になって判明する。

 派手さはなかったが、6代目サニーをベースにしたキュートなオープンカーのニッサンLUE‐2も話題をまいた1台だ。スチールではなくアクリル製だったが、電動トップの採用が注目の的だった。このLUE‐2よりも熱い視線を浴びていたのが、パイクカーブームの引き金となったBe‐1である。控えめな展示だったが、発売を望む来場者が多かった。そこで日産は市販化を決意している。

 プレーリーやスカイラインのワゴンなどと同じスペースに展示されていたCOM COMもユニークな商用コンセプトカーだった。使い勝手のいいハイトパッケージで、運転席側のドアはヒンジ式、助手席側のドアは前に開くスライドドアだ。利便性を第一に考え、サイドのパネル部分も片側はガラスの非対称設計としている。キャビンはウォークスルー設計で、テールゲートは7対3で開く観音開きとした。


>>【画像9枚】MID4のフロントビューやそのほかブースの模様など




時代に先駆けてスポーツ4WDの世界を切り開いたニッサンMID4。3LのV型6気筒エンジンをミッドシップに搭載し、駆動方式はフルタイム4WDだった。スーパーカー然としたデザインと相まって話題を独占し、ひと目見ようと来場者が殺到している。写真は2015年2月に行われたノスタルジック2デイズのもの。



【3】に続く

初出:ハチマルヒーロー 2016年 5月号 vol.35
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

第26回 東京モーターショー 1985 日産・スバル編(全3記事)

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【1】から続く

text : HIDEAKI KATAOKA/片岡英明 photo : JAMA/一般社団法人 日本自動車工業会

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