東京モーターショーに出展されたコンセプトカー&ショーモデル
【 第25回 東京モーターショー 1983 マツダ・いすゞ・ダイハツ・ホンダ・スバル編 Vol.2】
【1】から続く マツダの主役を演じたのは、近未来コンセプトカーのNX‐02だ。視覚から広さを感じさせる伸びやかなシルエットの4ドアセダンで、派手さはなかったが、ここでの技術提案は後のカペラやコスモに生かされた。
もっとも力を入れていたのはエアロダイナミクスである。マツダは早い時期から空力性能の向上に取り組み、抵抗を減らそうと努めた。スポイラーなどの空力付加物に頼ることなく、空力性能を高めている。フラッシュサーフェスを徹底し、リアフェンダーには空気の乱れを防ぐためにスパッツと呼ぶカバーを装着した。ちなみに空気抵抗係数は、トヨタFX‐1とニッサンNX‐21と同じCd=0.25だ。
インテリアは思いのほかシンプルで、水平基調のデザインが特徴。インパネにデジタル表示のメーターとサテライトスイッチを並べ、センター部にはナビゲーションシステムらしきものを組み込んでいる。また、ステアリングのパッド部分にスイッチを集中して配した。
だが、デザイン以上に目を引いたのはメカニズムである。最大の売りはリアに4輪操舵システムの4WSを採用したことだ。電子制御を用いて、前輪と同じ向きになる同位相だけでなく逆向きに転舵する逆位相も採用し、取り回し性を向上させた。この4WSは87年にカペラに採用され、プレリュードとともに話題を集めている。
マツダはFF方式に転換したファミリアが販売好調だった。そこでショーにはファミリアのカブリオレや高性能バージョンのスポルトRを展示している。だが、慎重なマツダは量産化を次期モデルまで延ばした。また、商業車館にはモデルチェンジしたばかりのボンゴをベースにしたルーミーなスカイラウンジを出品している。
>> 【画像13枚】マツダのポーターを改造したEV、マツダ ポーター EVなど。後部座席のフロアに鉛バッテリーを敷き詰めている [MX-02]
マツダブースの注目はエアロダイナミクスを追求したMX-02だ。デザイン以上に話題を集めたのが4輪操舵システムの搭載だ。
[フォードプローブ]
マツダと親密な関係にあるフォードは、エアロダイナミクスに徹底してこだわった空力実験車のプローブIVを外車館に展示している。このプローブは、後に量産のクーペモデルに名前を譲った。
【3】に続く初出:ハチマルヒーロー 2016年 1月号 vol.33
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
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