「その時代を駆け抜けてきたクルマの味を残して、それを伝えていきたい」【3】1970年式 日産 スカイライン HT 2000 GT-R

フロントグリル、Cピラー、リアパネルに装着されたエンブレム類は、ちょっと色がはがれていたりするのが、逆に当時の雰囲気がある

       
KPGC10のデビュー時には、「スカイラインブラウン」というボディカラーが設定されていた。
あまり知られていない事実だが、今回その元色を保った個体に遭遇することができた。
当時の雰囲気をそのまま今に伝える、奇跡の1台についてリポートしよう。

【GT-R伝説 1970年式 日産 スカイライン HT 2000 GT-R Vol.3】

【2】から続く

車体も決してコンディションがいいわけではなかったので、ある程度のレストアが必要であることは最初から覚悟していたそうだ。ボディカラーも側面だけは一度塗り直している。

「どうせ塗るならいっそのこと全塗装しちゃえばと、まわりからいわれたこともありますけど、当時の雰囲気をちゃんと残したかったんです。多少ガサついていても、元の塗装を極力残すようにしました。レストアというと、むしろ新車の時よりも美しくという発想になりがちですよね。でも、表現は悪いかもしれないけど、古いクルマってもともとチープな造りだったりするわけじゃないですか(笑)。多少色があせていたり、メッキがガサついたりしていても、それはそれでいいんじゃないのかなって思うんです。その時代を駆け抜けてきたクルマの味を残して、それを伝えていきたい。このGT‐Rも、そんな気持ちで保存していきます」とのこと。当時の面影を残す貴重な1台だ。

>>【画像19枚】当時オプションだった助手席側のサンバイザーなど。GT-Rは、ラジオやヒーターもオプションだったが、すべて装備している



>> インテリアもやりすぎない程度にレストアを実施。ドアの内張りを交換したほか、ステアリングはダッツンコンペを装着。センターコンソールの小物入れは、フタ付きを装着。





>> シートは純正のバケットシートだが、表皮が張り替えられていた。助手席のシートベルトは腰だけの2点式。






>> 当時のカタログを抜粋したもの。左が初期型に設定された3色を示している。イラストがなぜか4気筒モデルだ。右は1972年モデルのカタログ。各グレードのボディ色と内装色の組み合わせを表記。GT-Rには、シルバーメタリックとホワイトの設定のみなのが分かる。

SHOP INFORMATION



ビンテージカーを扱うプロショップ

 今回、取材協力していただいた静岡県浜松市にある「ガレージタケウチ」。国産車だけではなく、ヨーロッパやアメリカの輸入車も幅広く扱うビンテージ・レストレーションの専門店だ。珍しいクルマがちょくちょく入庫しているので、気になるクルマがあるなら、連絡してみよう。

ガレージ タケウチ
SHOP 
〒434-0003 静岡県浜松市北区新原2891 

GARAGE 
〒434-0025 静岡県浜松市浜北区善地623-2
TEL053-585-5830
http://www.g-takeuchi.co.jp/


1970年式 日産 スカイライン HT 2000 GT-R(KPGC10)


Specification 諸元
全長 4460mm
全幅 1665mm
全高 1370mm
ホイールベース 2610mm
トレッド前/後 1370 / 1365mm
最低地上高 160mm
室内長 1655mm
室内幅 1325mm
室内高 1110mm
車両重量 1100kg
乗車定員 5名
最高速度 200km / h
登坂能力tanθ 0.58
最小回転半径 5.2m
エンジン型式 S20型
エンジン種類 水冷直列6気筒DOHC
総排気量 1989cc
ボア×ストローク 82.0×62.8mm
圧縮比 9.5:1
最高出力 160ps / 7000rpm
最大トルク 18.0kg-m / 5600rpm
変速比 1速 2.957 / 2速 1.858 / 3速 1.311 / 4速 1.000 / 5速 0.852 / 後退 2.922
最終減速比 4.444
燃料タンク容量 100L
ステアリング形式 リサーキュレーティングボール
サスペンション 前/後 コイルスプリング式独立懸架ストラット / コイルスプリング式独立懸架セミトレーリングアーム
ブレーキ 前/後 ディスク / リーディングトレーリング
タイヤ 前後とも 6.45H-14-4PR
発売当時価格 154万円



初出:ノスタルジックヒーロー 2018年2月号 Vol.185
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1970年式 日産 スカイライン HT 2000 GT-R(全3記事)

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【1】【2】から続く

text : HIDEO KOBAYASHI/小林秀雄 photo : MOTOSUKE FUJII(SALUTE)/藤井元輔(サルーテ)

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