S20型エンジンの使命を果たした フェアレディZの最高峰Z432 1

1969年式 フェアレディZ432 

 オリジナル重視でレストアされた新井隆通さんのフェアレディZ432は69年式の極初期モデル。仕様変更を繰り返したフェアレディZにとって、初期の特徴的な仕様を確認できる貴重な一台といえる。また、オリジナルを維持しながらも、ヨーロッパ仕様のフロントスポイラーを装着するなど、オーナー独自のカスタマイズも施され、そのこだわりを強く感じさせる。

 レストアは千葉県の専門店TAオートの安藤正さんが行った。クルマとオーナーが出会ってから5年、2010年の冬にレストアを終え、ようやくガレージに収められたという。完成するまで時間がかかってしまったが、その完成度は高い。こだわり抜いたレストアは経験豊富なショップと旧車好きのオーナー、両者の熱意で実現した。

 新井さんにとってZ432は3台目のフェアレディZになる。車歴をさかのぼると、初めての旧車はスバル360。最初は何も分からないまま、クルマを手に入れてしまったという。

「セカンドカーが欲しいなと思ったとき、中古車店にスバル360がありました。当時は旧車に対する不安など考えていませんでしたから、買ってからが苦労しましたね。ちょっと調子が悪いと思った時、どこへ持っていけばいいのか分からないんです。そういうことを繰り返すうちに、少しずつ旧車について学ばせてもらいました」

 初めて手に入れたフェアレディZは中古車雑誌で見つけた240Zだった。幼いころ眺めていた中古車店での記憶がよみがえり、ちょうど2ドアクーペへの興味を募らせていた時期でもあった。


当時の雰囲気を出すため、ヘッドライトは球面のレンズ仕様を探した。最終的に装着したのはベルギー産のシビエH4。イギリス用だったので、レンズカットも国内仕様とちょうどあった。



純正マグホイールを装着。センターキャップはFRPで複製されたレプリカパーツ。



リアウインドー下にエア抜きのスリットが付いているのが初期型の特徴。リアスポイラーは社外品をブラックに塗装している。



エンブレムは初期型と後期型で素材が違う。初期型はアンチモニー、後期型は樹脂製になる。



レザーの内張りは内装を担当した須藤自動車で新規作成された。Z432では、シート形状・仕様に大きな変更はなかった。


掲載:ノスタルジックヒーロー 2011年 04月号 vol.144(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Isao Yatsui/谷井 功

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