「過給器のチューニングを一度やってみたかった」【2】1979年式 日産 サニー 1400 セダン SGX-E

A14型ブロックに、A15型用クランクを入れて1.5L化。ピストンは同サイズの日産純正を選び、CA18型用H断面コンロッド、特注68度カムを組んでいる。これにトラストのTD04Hタービンを加え、リンクのECUにて制御する。クランク角センサーや水温センサーのアダプターなどは、Aファクトリーが独自に製作したという

       
310サニーに乗り、A型の魅力にとりつかれて早25年。もうオーナーと離れることのできなくなった「相棒」は、キャブ、インジェクションのチューンを経て、ついにターボへと進化した。A型らしからぬ強烈な加速を携え、まだまだサニーは進化をやめない!

【珠玉のOHVユニット A型チューンの真髄に迫る 1979年式 日産 サニー 1400 セダン SGX-E Vol.2】

【1】から続く

一番の理由は、「過給器のチューニングを一度やってみたかった」から

 と、ターボ化に踏み切った訳をオーナーは話す。それでは驚異のA型ターボの詳細について紐解いていこう。

 まず土台のエンジンだが、キャブやインジェクションを採用していた時代はA14型のブロックに東名のφ79mmピストンを入れて1509ccにボアアップするという高回転対応のショートストローク仕様としていた。しかし、このようなスペックはトルクを重んじ、圧縮比の低下を必要とするターボには一転して不向きとなる。

 そこでA14型ベースの1.5Lという数字はそのままに、ブロックからすべて一新。今回はA15型のクランクを使い、ストローク拡大による排気量アップを画策してきた。この際、A型純正部品のままではターボのパワーに対応できないと判断。ピストンは同じφ76mmとなる日産の他車用を使い、コンロッドもストローク量が近いCA18型用をフルフロー加工して、各部の強化を狙う。

>>【画像24枚】ターボ車にとって重要なパーツとなるマフラーは、純正を加工したエキマニ、φ60mmのパイプを経て、φ70mmのテールパイプへとつながるエキゾーストシステムととなっている



>> A型チューンでは珍しいアルミ製のサージタンクが目を引く。スロットルボディはS15シルビア用SR20DET型の純正品とした。ストラットの左にあるのがキャニスターで、右にあるのがブローバイのキャッチタンク。





>> カーボンのカバーの中にあるのは、RB25型エンジンから取り外したダイレクトイグニッション。手前に見えるオルタネーターも、90Aのものに交換済みだった。





>> 360ccインジェクターを支えるブロック、フューエルレール、サージタンクなどをアルミ加工で作り上げる。こんな芸当ができるのが、加工を得意とするAファクトリーの強みだ。


1979年式 サニー 1400 セダン SGX-E(HB310)


SPECIFICATION 諸元
■エクステリア:310サニー低グレード用メッキゴムなしバンパー/低グレード用ボディ同色ウインドーフレーム、S30フェアレディZ用フェンダーミラー、フロントグリルメッキシートラッピング
■エンジン:A14型ブロック、φ76mm日産純正他車用ピストン、CA18型用H断面コンロッド(小端部フルフロー加工)、A15用クランク、JUN製スペシャルカム68度(カムリフト7.6mm)、ニスモ製バルブスプリング、Aファクトリー製オリジナル大容量オイルポンプ/電動ウオーターポンプ/フロントカバー/水温センサーアダプター/クランク角センサー、トラスト製オイルブロック、クランクプーリーVリブドベルト化、カーボン製ダイレクトイグニッションカバー
■吸排気系:S15シルビアSR20DET型スロットルボディ、Aファクトリー製オリジナルφ60mmフロントパイプ/純正改マニホールド、トラスト製TD04Hタービン、ARC製ブローオフバルブ、自作サージタンク/φ60mmマフラー(テール部のみφ70mm)
■点火系: RB25型用ダイレクトイグニッションコイル
■冷却系:アルミ2層ラジエーター、14インチ電動ファン、10段オイルクーラー、200系ハイエース用インタークーラー流用
■燃料系:Aファクトリー製フューエルレール/オリジナルインジェクターアダプター/インジェクターブロック、360ccインジェクター×4、ボッシュ製燃料ポンプ、SR20DET型純正燃圧レギュレーター
■電気系:リンク製G4プラスクロフネECU/ブーストコントローラー、90Aオルタネーター
■駆動系:ニスモ製メタルクラッチ/LSD、Aファクトリー製オリジナルクイックシフト、サニートラック用H165デフ
■サスペンション:(F)AE86レビン/トレノ用車高調、AE92レビン/トレノ用ショックアブソーバー、アペックス製5kg/mmコイル、ナックルアーム加工、切れ角ストッパー、ピロスタビリンク (R)AE86レビン/トレノ用ショートショック、RSR製3.5kg/mmコイル
■ブレーキ:(F)AE86レビン/トレノ用ディスクブレーキ
■タイヤ:ヨコハマタイヤ Sドライブ(F)185/55R14 (R)185/55R14
■ホイール:スピードスターマークⅡ(F)14×7J (R)14×7.5J
■インテリア:ナルディ製レザーステアリング、永井電子機器製タコメーター(グリーンLEDに交換)、トラスト製マルチメーター、イノベート製空燃比計、エイサー製タブレット(水温計/ブースト計/空燃比計)、レカロ製バケットシート

【3】に続く

初出:ノスタルジックスピード vol.019 2019年2月号
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1979年式 日産 サニー 1400 セダン SGX-E(全4記事)


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【1】から続く

text:AKIO SATO(rsf)/佐藤アキオ(rsf) photo:RYOTA SATO(SAKKAS)/佐藤亮太(サッカス)

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