レースに出ることは少なくなったが、今もなお進化を続けるマシン|日産 サニー クーペ【3】

日頃のメンテナンスは欠かさない

       
岡山県倉敷市で、当時はドライバーとしてレースに参戦し、現在もステアリングを握りながら、プライベートチューナーとしてA型エンジンのチューニングを行なっているオーナー。サニーユーザーの間では、かなり有名な存在だ。現在も、速くしたい一心でチューンナップを続けて進化するB310は、エンジンはもちろん、ボディからブレーキまで、そのスペックはとてもプライベーターが仕上げたものとは思えない。

【珠玉のOHVユニット A型チューンの真髄に迫る 日産 サニー クーペ Vol.3】

【2】から続く

 その後、レースに出ることは少なくなったが、オーナーのレーシングサニーへの思いは冷めない。日頃のメンテナンスは欠かさず、年に1、2度は必ずサーキットを走らせてコンディションをキープしている。
 そして、オーナーのB310がスゴイのは、単に当時の状態を保っているのではなく、最先端の性能をキープしている点だ。当時の仕様をベースに、要所がアップデートされ、今もなお進化を続けている。姿や形には当時の面影が強く残るも、その気になればいつでもレースに復帰でき、そして今時のTSマシンとも十分に戦えるポテンシャルを持っているのだ。

「しばらくレースから離れてはいても、自分もこのサニーも、眠っておったわけではありませんよ。さすがに、ドライバーとしてのテクニックは、若かった頃のままというわけにはいきませんが、それでも、そこらのプロにはまだまだ負けん。クルマも、エンジンだけでなく、軽量化や空力など、細かいところまで一段と磨きをかけています」

 オーナーいわく、今、このB310サニーは「床の間の刀」らしい。一見飾り物だけど勝負になれば、キッチリと威力を発揮できるはずだ。引き続き、このレーシングサニーにオーナーが仕込んだ、切れ味鋭い速さの秘けつを見ていくことにしよう。


>>【画像44枚】当時F3000にも採用されていたアルミ2ピースのブレンボレーシングを使用するフロントのブレーキキャリパーなど。ローター径はφ275mm、ブラケットを自作して取り付ける。スペーサーの肉抜きもスゴイ



>> ワークスヘッド!? にスライドバルブ!! マニア垂ぜんのA12型を搭載したレーシング仕様


日産 サニー クーペ(HB310)


SPECIFICATION 諸元
■エクステリア:FRP製フロントスポイラー/バンパー/ボンネット/オーバーフェンダー/トランクリッド、アクリルウインドー(左右、リア)、ボディスポット増し
■エンジン:A12A型改ワークスヘッド仕様(ボアφ77mm×ストローク70mm、圧縮比12.6)、ワンオフチタン製バルブ(INφ41mm/EXφ33mm)、削り出しワンオフロッカータワー、オプションロッカーアーム、ロッカーシャフトタフトライド加工、オプションリフター、JE製ワンオフ鍛造ピストン、クロワー製H断面コンロッド、オプションクランク、TOMEI製80度カム(7.75mmリフト)、ベリリウム製バルブシート
■吸気系:クーゲルフィッシャー製機械式インジェクション、スライド式ストッロルバルブ
■排気系:ステンレス製ワンオフφ42.7mm等長タコ足、チタン製ワンオフφ60mmマフラー(サイド出し)
■点火系:永井電子機器製レース用CDI
■冷却系:ワンオフラジエーター、SA22C用オイルクーラー流用
■燃料系:ATL製30L燃料タンク、NISMO製燃料ポンプ、ボッシュ製燃料ポンプ
■駆動系:オプションクラッチ、オプション56Aミッション、アルミ製ワンオフプロペラシャフト、H150デフ(ファイナル3.9〜4.625)、オプションLSD、フォーシング加工(オイル容量アップ&アルフィン装着)
■サスペンション:(F)オーリンズ製ワンオフ車高調、クスコ製ピロアッパーマウント、パイプAアーム/コントロールアーム、アイバッハ製スプリング(5.3kg/mm) (R)オーリンズ製ショック、アイバッハ製スプリング(4.3kg/mm)、中空スタビ
■ブレーキ:(F)ブレンボ製4ポットレーシングキャリパー(F3000用)/φ275mmローター (R)AE86用流用、S13シルビア用φ256mmローター
■インテリア:アバルト製ステアリング、ダッシュパネルワンオフ、スミス製機械式クロノメトリックタコメーター、大森メーター製φ60mmサブメーター(水温、油圧)、A/Fメーター、セーフティ21製6点式ロールケージ
■操舵系:S10シルビア用ステアリングギアボックス
■タイヤ:ヨコハマ アドバンスリック(F)210/490/13 (R)230/500/13
■ホイール:レイズ ボルクレーシング メッシュ(F)13×8J -10 (R)13×9J -20


【3】に続く

初出:ノスタルジックスピード vol.019 2019年2月号
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

日産 サニー クーペ(全6記事)


関連記事:珠玉のOHVユニット A型チューンの真髄に迫る

関連記事:サニー



【1】【2】から続く

text : ISAO KATSUMORI(ZOO)/勝森勇夫(ズー) photo : RYOTA-RAW SHIMIZU(FOXX BOOKS)/清水良太郎(フォックス ブックス)

RECOMMENDED

RELATED

RANKING