HIROTA東名サニー【2】創立者 鈴木誠一さんゆかりのマシン、丸善テクニカカラーのサニーを作る|1972年式 日産 サニー クーペ GL(B110)|珠玉のOHVユニット A型チューンの真髄に迫る

TSレースを席巻した伝説の東名サニー。当時のスペックを踏襲しつつ、進化をつづける

       

珠玉のOHVユニット A型チューンの真髄に迫る
TSレースを席巻した東名サニー

TSレースの舞台で圧倒的な存在感を放ったサニー。その先駆者ともいえるのが、「トランズ・ニックス第一戦富士100キロ・レース」で鮮烈なデビューを飾った東名自動車(現東名パワード)のB110である。A型チューンの礎を築いた1台といっても過言ではない。そして伝説は今もこの復刻マシンへと受け継がれている。その全ぼうを紹介していこう。

【 1972年式 日産 サニー クーペ GL Vol.2】

【1】から続く

 ゼッケン84番。当時を彷彿とさせるこのB110サニーが製作されたのは取材された2019年時点から20年前の1999年のこと。この車両を所有する自動車工房ヒロタの廣田和正代表が、JCCAのFクラスに参戦するうえで、東名パワード(旧東名自動車)のメモリアルナンバーを使わせて欲しいと打診したのがはじまりだ。

「小学生の頃からクルマやレースが大好きで、よくTSレースを見に行っていました。丸善テクニカカラーのサニーはとにかく速かった。その雄姿はいまでも目に焼き付いています。いつかはこのカラーリングにして走ってみたいと思っていました」と振り返る。

>>【画像40枚】RSワタナベのマグホイールはRタイプで、サイズはフロント8J、リア9Jの13インチ。これにアドバンのスリックタイヤをセットする

 じつは東名パワードとしてもちょうど30年目の節目であり、故人となっていた創立者、鈴木誠一さんゆかりのマシンを作ろうという企画が立ち上がっていた。とんとん拍子でマシン製作をサポートすることが決定した。

 しかし、丸善テクニカカラーにするからには、ライバルに後塵を拝することは許されない。そこで、シャシーや足まわりは自動車工房ヒロタが、エンジンは東名パワードがそれぞれ担当し、現代流のエッセンスを盛り込んだ復刻マシンを製作することになったのだ。





>> ベース車は1972年式のB110サニークーペGL。自動車工房ヒロタの廣田和正代表が、東名自動車のサポートを受けながら製作している車両だ。約20年前に15万円で買ってきたポンコツがベース。サビもひどい状態だったがレストアをして復活させた。現在はTSレースのFクラスに参戦しており、ドライバーは影山正美さんが務める。富士スピードウェイのベストタイムは1分58秒台。廣田さんいわく「蹴飛ばされるような加速感」とのこと。その速さは本物だ。




>> カローラやパブリカに対抗するべく投入された丸善テクニカカラーのB110。A型チューンがここまで進化したのは、このマシンのおかげといっても過言ではない。まさに東名自動車の原点ともいえる1台だ。

1972年式 サニー クーペGL(KB110)

SPECIFICATION 諸元
■エクステリア:TOMEI製フロントスポイラー/リアスポイラー、NISMO仕様オーバーフェンダー、FRP製ボンネット/フロントフェンダー/オーバーフェンダー/ドア/トランクリッド、アクリル製ウインドー(フロント合わせガラス)/ビタローニ製セブリングミラー
■エンジン:A12型改1303cc(約170ps/8500rpm)、TOMEI製φ77mm鍛造ピストン/H断面コンロッド/4カウンタークランクシャフト/PROCAM(312°、7.75mmリフト)/バルブスプリング(ダブル)/軽量タイププッシュロッド/0.8mmメタルヘッドガスケット(対向ビート)、ビッグバルブ(INφ40mm/EXφ33mm)、NISMO製メインベアリング/コンロッドベアリング/中空バルブリフター、リン青銅製バルブガイド
■吸気系:TOMEI製インテークマニホールド、ウエーバー45DCOE9、
■排気系:TOMEI製エキゾーストマニホールド/ワンオフ右サイド出しマフラー
■点火系:永井電子機器製MDI NO.9500/プラグコード、クランクピックアップ式(オルタレス仕様)、NGK製R7433-10
■冷却系:アクアガラージュ製ラジエーター、セトラブ製オイルクーラー
■燃料系:ATL製燃料タンク、NISMO製燃料ポンプ(2基)、TOMEI製コレクタータンク
■駆動系:ORC製レーシングコンセプトクラッチ、純正レースオプションF56Aミッション、NISMO製H150 LSD、ホーシング加工(デフオイル容量アップ)
■サスペンション:(F)レースオプション車高調改、ピロボール式Aアーム、レース用スタビライザー (R)レースオプションリーフスプリング
■ブレーキ:MK63キャリパー、プロジェクトμ製ブレーキローター/パッド
■インテリア:MOMO製プロトティーポステアリング、スミス製機械式タコメーター、ラムコ製メーター(水温、油温、油圧)、NGK製A/Fデジタルメーター、SARD製排気温度計、オートルック製バケットシート、HPI製5点式ハーネス、ガレージアルティア製ロールケージ
■タイヤ:ヨコハマ アドバンスリック(F)210/490/13 (R)230/500/13
■ホイール:
RSワタナベ8スポーク マグ Rタイプ(F)13×8J (R)13×9J




【3】に続く

初出:ノスタルジックスピード vol.019 2019年2月号
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1972年式 日産 サニー クーペ GL(全7記事)


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【1】から続く

text : DAISUKE ISHIKAWA/石川大輔 photo : MOTOSUKE FUJII(SALUTE)/藤井元輔(サルーテ)

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