速いハコスカGT‐Rへ【3】「フェラーリでさえ2バルブの時代に、4バルブ。このエンジンを楽しまずしてRを所有する意味はないと思うんですよ」|1971年式 日産 スカイライン HT 2000 GT-R|大人がたしなむ旧車チューンド

オーバーフェンダーはフロントにも装着。純正スタイルにより、前後のバランス感を重視するフォルム

       

大人がたしなむ旧車チューンド

好きな旧車を自分好みにチューンナップするのは楽しいもの。サーキット走行やドラッグレースでのタイムを競うような、ハイチューンを極めるのもいい。一方で、気が向いた時に、ストリートやワインディング、高速道路を走らせて楽しむのがメインとなる旧車チューンドのスタイルにも注目しておきたい。旧車らしさやエキゾーストサウンドを楽しみながら、お気に入りのルートをドライブするのが似合いそうな、そんな大人な旧車チューンドをここでは紹介していこう。

GT-Rらしさや雰囲気を残しつつ
S20型が収まるエンジンルームをモダナイズ!

このハコスカRのオーナーは大のモータースポーツフリーク。アルファロメオ155でアルファチャレンジに参戦し、岡山国際サーキットを1分52秒台で走る実力を持つ。そんなオーナーには、希少なハコスカRも、購入目的はやはり走り。あこがれの6気筒24バルブのパワーとサウンドを、大人なファインチューンで味わい尽くす。

【 1971年式 日産 スカイライン HT 2000 GT-R Vol.3】

【2】から続く


 内装はオリジナルのテイストをキープしたレストアが中心。そして、オーナーが「最も感動した」と話すのがエンジンルームの景色。その光景は、このエンジンだからこそGT‐Rが好きになったというS20型のショールームという印象だ。以下は、実際にこのハコスカRを手がけたプロショップ ナカガワの中川英明代表のコメント。

「Rのチューニングを任されるチャンスなんて滅多にないから、楽しんでやらせてもらっています。エンジンは開けてはないけど、圧縮を見る限りそう悪くはない感じやね。現状は気になったバルタイと点火時期を少しいじった程度やから、キャブを含め、しっかりセッティングすれば、エンジンはもっと良くなるはず。個人的には、キャブ仕様のまま点火をモーテックで制御するのが面白い気がしてるんよ」。

 二人の大人が興じる、「Rより速く、Rよりも輝きのあるチューンドR」。今後の展開から目が離せない。

>>【画像32枚】全面スムーシング処理に、ボディ同色ペイントされたエンジンベイなど。配線を見えない位置にレイアウト変更する、プロショップナカガワらしいエンジンルームの仕上げだ。ヘッドカバーの結晶塗装も再現されていて、エンジンルームの輝きは新車時以上




>> キャブレターはウエーバー45DCOE125で、新調したカールファンネルはURS製の75mmタイプ。現在は、まだセッティング途中だ。





>> エキマニはステンレスφ42.7mmの等長タイプ。メーカーは不明だが性能に不満 はない。エキマニの下を新設されたヒーターホースが走る。


OWNER

15年前からアルファロメオのワンメイクレースとなるアルファチャレンジに参戦。一緒に始めた仲間たちはやめてしまったが、オーナーだけは今も走り続けている。スカイラインGT-Rは、そんなクルマ好きで、走りが大好きなオーナーの若い頃からのあこがれのモデルで、特にS20型エンジンに心が引かれたらしい。「フェラーリでさえ2バルブの時代に、4バルブ。このエンジンを楽しまずしてRを所有する意味はないと思うんですよ」




SHOP INFO.
PROSHOPナカガワ
兵庫県姫路市余部区下余部1239
TEL079-272-3883
https://more-drive.jp/
オーナーが信頼を寄せる中川代表の、S20型のポテンシャルを引き出すための次なる一手はモーテック制御。「インジェクション化をお勧めしたいですね、S20型のレーシングな性能を快適な環境で実現できればと思います」





1971年式 日産 スカイライン HT 2000 GT-R(KPGC10)

SPECIFICATION 諸元
■エクステリア:ボディレストア
■エンジン:S20型ノーマルスペックOH(圧縮比10.8)、亀有製φ83mm鍛造ピストン、強化バルブスプリング、JUN製カムシャフト(288度)
■吸気系:ウエーバー45DCOE125、URS製カールファンネル(75mm)
■点火系:永井電子機器製MDI
■排気系:φ42.7mm等長ステンレスタコ足&ステンレスマフラー
■冷却系:純正ラジエーター3層加工
■燃料系:ニスモ製燃料ポンプ
■駆動系:OS技研製ツインプレートクラッチ(Aタイプ)/スーパーロックLSD
■ブレーキ:R32タイプMキャリパー
■サスペンション:ビルズ製車高調
■タイヤ:TOYOプロクセスT1R(F)205/50R15 (R)225/50R15
■ホイール:RSワタナベ8スポーク(F)15×8.5J (R)15×10J



初出:ノスタルジックスピード vol.019 2019年2月号
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1971年式 日産 スカイライン HT 2000 GT-R(全3記事)


関連記事:大人がたしなむ旧車チューンド

関連記事:GT-R



【1】【2】から続く

text:KEISHI WATANABE/渡辺圭史 photo:AKIO HIRANO/平野 陽、SATOSHI KAMIMURA/神村聖

RECOMMENDED

RELATED

RANKING