ハイソカーブーム。ソアラの牙城を崩そうと挑んだクーペたち【2】その中心にいたソアラ

ハイソカーブームの時代を駆けたクーペたち

       
【 ハイソカーブームの中心にいたソアラ Vol.2】

【1】から続く

 初代ソアラはモデル末期になっても安定
した売れ行きを見せていたが、1986年1月に2代目にバトンを託している。初代がヒットしたためキープコンセプトだと言われたが、メカニズムは保守的ではなかった。サスペンションは、レーシングカー譲りの4輪ダブルウイッシュボーン。3段階の自動可変機構を備えた電子制御エアサスペンションも用意している。ステアリング形式はラック&ピニオンで、これも速度感応式パワーステアリングだ。

 パワーユニットもDOHC4バルブになり、ターボにも最先端のテクノロジーを導入した。2Lの1G‐GT型DOHCに使われているターボシステムは、スペックマニアが胸躍らせるツインターボだ。自慢のトヨタエレクトロマルチビジョンも飛躍的な進化を遂げ、機能も多彩になる。

 ソアラの好調に刺激され、レパードの2代目は2ドアクーペだけに絞って登場した。が、日産はこれほどソアラが進化すると思わなかったのだろう。すぐに格の違いを見抜かれ、比較対象ではなくなっている。ホンダも独創的なV型6気筒エンジンを積むFFプレステージカーのレジェンドハードトップをソアラにぶつけた。が、パワースペックはもちろん、メカニズムの濃さや走りの実力でも差を付けられている。

 スカイラインは7代目で4ドアハードトップを設定し、トヨタのハイソカー軍団に一矢報いようとした。が、もともと車格は下だし、性格も違うから勝負にならない。スカイラインファンからは反感を買い、4ドアハードトップは一代限りで姿を消している。

 1991年6月に3代目ソアラがベールを脱いだ。ドメスティック路線からレクサスの戦略車へと方向転換し、ルックスも大きく変わった。この時代のライバルの筆頭は、3ローター・ロータリーのユーノスコスモと水平対向6気筒エンジンを積むスバルのアルシオーネSVXだ。三者三様の個性を競ったが、誰も勝者にはならなかった。ソアラも日本画のような清廉さと繊細さが失せたため、ユーザー離れを引き起こす。その名のように自由自在に舞ったのは1980年代に生まれた2代のソアラだ。


>>【画像14枚】ハイソカーブームの中心にいたソアラ。そして、レパード トライエックスや、3ナンバー専用ボディの2ドアハードトップを設定したレジェンドなど



JCESE EUNOS COSMO

1990年4月に、マツダの新たな販売チャネル「ユーノス」からリリースされたコスモ。最大のトピックはエンジンで、2ローターの13B型のほか、量産車世界初の3ローター20B型を搭載。また、オーストリア・シュミットフェルドバッハ社製の高級本革シートを採用したことや、世界初のGPSナビゲーションを搭載したこともニュースだった。





CXW ALCYONE SVX


アルシオーネの名を冠するものの、初代から一転して大型クーペに生まれ変わったSVX。斬新なエクステリアデ6ザインはジウジアーロによるもので、エンジンは3.3Lフラット6、駆動方式は電子制御トルクスプリット式フルタイム4WDと、新開発のメカニズムを搭載。ただし販売面では苦戦し、生産終了とともにその名も消滅した。





KA8 LEGEND


初代に引き続き、2代目レジェンドにも2ドアを設定。しかし、初代が「ハードトップ」という名称だったのに対し、2代目では「クーペ」に変更された。また、エンジンやミッションなどはセダンと同じだが、サスペンションをよりスポーティーな味付けにするなど、グランドツーリングカー的な要素を強めていたことも特徴だ。





初出:ハチマルヒーロー 2016年 3月号 vol.34
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

ハイソカーブームの中心にいたソアラ(全2記事)

関連記事:ソアラ伝説

関連記事:ソアラ




【1】から続く

text : HIDEAKI KATAOKA/片岡英明

RECOMMENDED

RELATED

RANKING