最初のGX‐5【3】メーター読みで10000rpmまで続くパワフルな加速|日産 サニー クーペ GX-5

純正タコメーターの位置に、サニーオーナーあこがれのスミス製クロノメトリックメーターをインストール。機械式ならではの、カクカクした針の動きがすばらしい

       

最初のGX‐5

かろうじてエンジンがかかるほど、程度が悪かったB110サニークーペGX-5。パーツ取りの危機を乗り越え、モディファイされたエンジンは、小排気量エンジンならではの高回転まで回す楽しみを味わうため、A12型をベースにチューンナップ。ダウンドラフト方式のFCRキャブレターで、吸気を燃焼室へダイレクトに送り込むことで、いざとなれば10000rpm以上が可能になっているという!

【日産 サニー クーペ GX-5 Vol.3】

【2】から続く

 ただし、排気量アップされているとはいえ、L型3Lチューンドなどに比べれば圧倒的に小さい1.3Lだ。ところが、取材時に試乗させてもらったところ、トルク不足を感じさせるどころか、坂道でも強烈に加速しながら登ってしまうほどパワフル。しかも、そのトルク感がメーター読みで10000rpmまで衰えることなく、きっちりと維持されていたのには、驚きと共に非常に印象的だった。

 15年におよぶパーツ集めのかいもあって、ニスモのレース用フルクロスミッションやオイルポンプなど、貴重なパーツが多数組み込まれたGX‐5チューンドと、フルノーマルの極上車の2台持ちとは、何ともうらやましい限り。今後はリアシートとフロントシートの間に置いてあるバッテリーの位置を変更するなど、完成度をさらに高めていきたいそうだ。

>>【画像36枚】 いすゞ ベレットからの流用となる放熱性の良さそうなリアのアルミフィンドラムなど。他車種、しかもメーカーまで違うクルマからの流用にもかかわらず、純正さながらにすっきりと収まっているのもポイント



>> メーターやスイッチが追加されてはいるものの、純正風のすっきりとしたインテリア。軽量化のため内装が取り外され、鉄板むき出しのスパルタンな仕様。



>> 空調パネルの上は左から、燃圧計、空燃比計。そしてその右に並ぶスイッチは、左から燃料ポンプ、電動ファンのスイッチ。ただし電動ファンのスイッチだけは、常時オンになっている。このスイッチ下にある独立したスイッチはETCの電源用。






>> 空調パネル下のDefiの3連メーターは、左から水温、油温、油圧計。チューンドはもちろん、旧車にはコンディションを把握するためには必需品。






OWNER’S VOICE



今回取材したGX-5と同じB110をもう1台所有しており、そちらは程度抜群というオーナー。そのため「程度の良くなかったこのGX-5は、パーツ取りとして余生を過ごすはずだったんです。ですが竹口自動車の社長に相談したところ、レストアして、もう1台はノーマルのまま維持することになりました」オーナー。遊び用のチューニングカーに、当時の乗り味が楽しめる極上のノーマルと、気に入ったクルマを2台持つことは旧車乗りのあこがれ。そんな旧車ライフを実現した、何ともうらやましいオーナーなのだ。

日産 サニー クーペ GX-5(B110)


SPECIFICATIONS 諸元
■エクステリア:ボディフルレストア、FRP製F/Rバンパー(メッキ仕様)
■エンジン: A12型改1298cc仕様、ピットロード製ヘッド(ステージⅢ)、東名カム(80度)、チタン製バルブ(INφ40mm/EXφ38mm、ステム径φ7mm、ピットロード製φ76.85mm鍛造ピストン、日産(ニスモ)製チタンコンロッド、フルカウンタークランク、ニスモ製オイルポンプ
■吸気系:FCR 41、専用インマニ
■排気系:ワープ製タコ足/マフラー
■点火系:永井電子機器製ウルトラMDI
■冷却系:2層アルミラジエーター、アールズ製オイルクーラー
■燃料系:電磁式燃料ポンプ(ミツバ製+ニスモ)、コレクタータンク、リターン配管に燃圧調整バルブ
■駆動系:ニスモ製クラッチ、ピットロード製フライホイール、ニスモ製オプションミッション(56Aフルクロス)、B310用H150デフ(ホーシングH145用、ファイナル3.9)
■サスペンション:(F)S130Z用ストラット加工車高調+ニスモ製ショック、ピットロードAアーム、ニスモ製スタビ(R)コニ製ショック
■ブレーキ:(F)MK63キャリパー+φ260mmローター (R)ベレG用
アルフィンドラム、S130Z用ブレーキマスター(7/8)
■インテリア:ナルディ製ステアリング、オートルック製バケットシート(右)、ポップアップシートレール、スミス製機械式タコメーター、亀有製燃圧計、PLX製A/F計、日本精機Defi追加メーター(油温、油圧、水温)、バッテリー移設(キルスイッチ)
■タイヤ:ヨコハマ(F)アドバンA050 175/60R13 (R)アドバンA042 185/60R13
■ホイール:(F)フラルコ13×6J (R)トスコ13×7J




初出:ノスタルジックスピード 2018年11月号 vol.018
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

日産 サニー クーペ GX-5(全3記事)

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【1】【2】から続く

text : SHINYA KUSHIURA/串浦愼哉 photo : RYOTA-RAW SHIMIZU(FOXX BOOKS)/清水良太郎(フォックス ブックス)

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