脱定番S31Z【4】もう1機用意されるL28型改3.0L。耐久性を考えた3.0L仕様で3.1Lに迫る性能を|1975年式 日産 フェアレディZ

マフラーの消音器をすっぽり覆うボリューミーなリアアンダースポイラー(TYPE1)は、ダクトを設けることでパラシュート効果を防止するデザイン。マフラーはS30系だからこそ似合うフジツボ製の縦デュアルを装着する。

       
2018年の東京オートサロンで、多くの旧車ファンに熱い視線を浴びたZがある。「モーターズ バイ シェイプ」が手がけた、この先鋭的なフォルムのS31がそれだ。オーナーが待ちわびる中、3年の時を経てようやく目覚めた美しき貴婦人。走り重視のダイナミックなスタイリングと、イメージを際立たせるボディカラーが、高貴なルックスを一段と魅力的に見せる。

【1975年式 日産 フェアレディZ Vol.4】

【3】から続く

 エンジンは、1台目のZに搭載されていたL28型改3.0L仕様をひとまず移植。こちらもボディ同様に、ヘッドからブロックまで全バラしての完璧なオーバーホールが施された。

 エンジンはシリンダーヘッドがN42、ブロックがF54という組み合わせで、L28型コンロッド+亀有φ89mm鋳造ピストン、キャブはソレックス44PHH×3を装着したオーソドックスな3.0L仕様だ。ヘッドは0.8mmほど面研され、ハイリフト化されたカムに刻印はなく作用角は不明。今のところ快調ではあるが、スペック的に不確かなところが多いのがネックで、エンジンも一から作り直すことにしたそうだ。

「当初から、エンジンも脱定番で、自分らしい仕様にするつもりでいました。だから、もう1機製作しているのは自然な流れです」とオーナー。チューニングは今の3.0L仕様のO/Hを手がけた「IZAWA TASTE」にオーダー。耐久性を考えた3.0L仕様で3.1Lに迫る性能を目指す。

バケットシートやロールバーなどの装着、本気で走るためにやり残しているメニューはまだ多いというオーナーのS31Z。ここからさらに進化し、サーキットを疾走する姿に期待したい。

>>【画像27枚】キャブレターはソレックス44PHH。タコ足からの熱によるパーコレーションを考慮して装着されるヒートプレートなど



>> エンジンは、以前乗っていたZからそっくり移植したL28型改の3.0L仕様。「IZAWA TASTE」によるフルO/Hで快調そのもの。




>> オルタネーターはアイシンのリビルド品でリフレッシュ。クランクシャフトプーリーは振動を吸収する機能を持つダンパープーリーに交換されている。






>> 燃圧を安定させるフューエルレギュレターは大容量タイプに交換。フューエルポンプはボッシュでこちらも大容量タイプだ。



OWNER’S VOICE



S31Zのほかに、MINIクーパーの40周年記念モデルを所有するオーナー。丸目とキュートなヒップラインがお気に入りで、S31Zの完成を待ちわびた3年間、このMINIで気持ちをまぎらわせていたそうだ。レーシンググリーンのS31Zでサーキットを疾走することをずっと夢見つづけてきたオーナーだったが、予想を超える出来栄えに、サーキットを走るのがもったいなくなってしまったのが、今一番の悩みだ。



1975年式 日産 フェアレディZ(S31)
SPECIFICATIONS 諸元
■エクステリア:ボディフルレストア、モスグリーンオールペイント、スピードフォルム製フルボディキット
■エンジン:L28型改3.0L仕様(N42ヘッド+F54ブロック:2947cc)、加工カム(8.1mmリフト)、純正加工スライド式カムスプロケ、亀有製φ89mmストリートピストン/1.0mmヘッドガスケット、バルブ突き出し量41.4〜41.58、バルブスプリングセット長40.1〜40.48、ヘッド容積41.5〜41.8ml、圧縮比10.7〜10.8、
■点火系:和光テクニカル製スーパーZコイル、IC内蔵オルターネーター亀有製デスビ+MDI、リビルトダイナモ
■吸気系:ソレックス44PHH(オーバーホール済み)
■排気系:ファクター製タコ足、フジツボ製タテデュアルマフラー
■燃料系:BOSCH製燃料ポンプ、燃料レギュレーター
■冷却系:HPI製オイルクーラー
■駆動系:強化クラッチ、71Cミッション
■足回り:ファクター製車高調
■ブレーキ:(F)ブレンボ製4ポットキャリパー+φ300mmローター
■タイヤ: ダンロップDIREZZA ZⅢ(F)205/45R17 (R)225/40R17
■ホイール:レイズ ボルクレーシングTE37V BA(F)17×9.5J -15 (R)17×10J -20
■内装:レース用ワイドミラー、ナルディ製ステアリング、ダッツンコンペシート×2、日本精機Defiメーター(タコ、水温、油温、油圧)、燃圧計、オートメーター(燃料、A/F、燃圧)カロッツェリアヘッドユニット/スピーカー、StP製制振シート(デッドニング処理)、クスコ製タワーバー



初出:ノスタルジックスピード 2018年8月 vol.017
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1975年式 日産 フェアレディZ(全4記事)

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【1】【2】【3】から続く

text : ISAO KATSUMORI(ZOO)/勝森勇夫(ズー) photo : RYOTA-RAW SHIMIZU(FOXX BOOKS)/清水良太郎(フォックス ブックス)

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