「ひとりの人間が140馬力のエンジンをコントロールする。当然、それ相応の心構えと運転技術が必要です」|1971年式 トヨペット コロナ マークⅡ 1900 ハードトップ GSS Vol.2

メーターは右がスピード、中央が油圧、燃料、水温のコンビネーションタイプ。そして左が回転計となっている。

       
【情熱のスポーツユニット】
他人とは違うクルマに乗っている、という優越感や満足感は、旧車乗りの自己主張そのもの。
その極みとも言えるのが、スポーツ仕様のエンジン搭載車を所有することだろう。
高圧縮比、複数キャブレター、ダブルオーバーヘッドカムシャフト、5速マニュアルミッションなど、クルマ好きの心をわしづかみにする、ホットなメカニズムが組み込まれたクルマたち。
数ある中から選び出した5種類のスポーツユニットを眺めながら、ぜひ妄想をふくらませてほしい。

【1971年式 トヨペット コロナ マークⅡ 1900 ハードトップ GSS Vol.2】

【1】から続く

 トヨタ1600GTからのフィードバックが強いコロナマークⅡ GSS。新しいコンセプトの豪華仕様スポーツモデルということから、トヨタ2000GTも含めた、この3台は上質な走りを追求した特別仕様という性格も同じだった。

 その中にあってトヨタは、コロナマークⅡ GSSだけには「GTに代わる新しい高性能車の誕生」というキャッチコピーとともにGSSを名乗らせた。これは1600GTや200 0GTとも違う新たな取り組みであった。ちなみにGSSとはグランド・スーパー・スポーツのことで、「ジー・エス・エスと略称なさってください」とカタログには記載しており、来るべきハイウェイ時代を見据えた設定としていた。




 さらに注目なのは、「ひとりの人間が140馬力のエンジンをコントロールする。当然、それ相応の心構えと運転技術が必要です。車に精通した方、ハイウェイ・マナーを心得た方がたにだけ、GSSをおすすめする理由もそこにあります。」と記載されており、運転上級者を対象としたモデルとしている。もっとも当時は運転制御技術などなく、140馬力をねじ伏せるドライビングテクニックが必須だったということだ。一般的レベルのドライバーには扱えない的なこの訴求は、特別モデルであることを強調した。

>>【画像19枚】イーグルマスクと呼ばれる中央部分が突き出したワシのクチバシのイメージでフェイスリフトがされた後期型など



インパネ回りのデザインは、直線を基調としたスッキリとしたイメージ。カラーを黒で統一してスパルタンな演出がされている。ステアリングは、3本スポーク部分に穴あき加工が施されているレーシーな仕様。





ミッションはトヨタ2000GT譲りの5速が搭載されている。


1971年式 トヨペットコロナ マークⅡ 1900 ハードトップ GSS(RT72-MQ)
SPECIFICATION 諸元
全長 4300mm
全幅 1605mm
全高 1385mm
ホイールベース 2510mm
トレッド前/後 1340 / 1325mm
最低地上高 180mm
室内長 1805mm
室内幅 1355mm
室内高 1130mm
車両重量 1050kg
乗車定員 5名
最高速度 200km / h
登坂能力 0.59°
最小回転半径 4.95m
エンジン型式 8R-G型
エンジン種類 水冷直列4気筒DOHC
総排気量 1858cc
ボア×ストローク 86×80mm
圧縮比 9.7:1
最高出力 140ps / 6400rpm
最大トルク 17.0kg-m / 5200rpm
燃料供給装置 ミクニソレックス型ツインキャブレター
燃料タンク容量 52L
変速機 前進5段 / 後退 1段
変速比 1速 3.075 / 2速 1.838 / 3速 1.256 / 4速 1.000 / 5速 0.856 / 後退 3.168
最終減速比 4.375
ステアリング型式 リサーキュレーティングボール
サスペンション前/後 ウイッシュボーン・ボールジョイント / リジッド・リーフ+トルクロッド+LSD
ブレーキ前/後 ディスク / リーディングトレーリング(ドラム)
タイヤ前後とも 165SR14
発売当時価格 107.3万円


【3】に続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2017年4月号 vol.180
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1971年式 トヨペット コロナ マークⅡ 1900 ハードトップ GSS(全3記事)

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【1】から続く

photo:TARO KODA/幸田太郎(Studio Roots)

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