「ここまで仕上げている個体は、日本で1台だと思います」|1981年式 マツダ ファミリア 1500 3ドア ハッチバック XG

スタイルも走りも抜群の洗練度で、若者を魅了したファミリア旋風。

       
【1981年式 マツダ ファミリア 1500 3ドア ハッチバック XG Vol.3】

【2】から続く

 この個体のオーナーは、以前にも登場している。「陸サーファー」仕様の黒いファミリアと言えば記憶に新しいだろう。オーナーはその黒いファミリアの部品取り車を探していたときに、この個体と出会ったそうだ。「完璧なボーイズレーサー仕様としてでき上がっていたんです。私が20歳のころ、先輩がこんなファミリアに乗っていて憧れたんですよね。これ見てください、同じでしょう」と言って、手のひらサイズの本を見せてくれた。それは、成美堂出版ドレスUPカーシリーズの「SPECIALファミリア」という単行本で、エアロキットを装着したデモカーなどが掲載されている。このような本が出版されていたことからも、ファミリアとボーイズレーサーの人気が高かったことがうかがい知れる。そして、開かれたページにはエアロパーツで身を固めた白いファミリアが載っていた。そのいでたちは、まさにこの個体と同じだ。

「ここまで仕上げている個体は、日本で1台だと思います」とオーナー。30年の時を超えて今に生きるボーイズレーサー仕様は、当時のファミリア旋風に負けないインパクトを残してくれた。

>>【画像19枚】 エアロブランドのトリノ製となるリアスポイラー。3分割されているのが人気で、当時は一体型もあったそうだ。迫力満点のトラストの4本出しマフラー。そしてラブラーク製の「323」のリアガーニッシュなど



エンジンルーム内の赤い塗装は元色の名残。エンジン本体はノーマルだが、マツダスピードのオイルフィラーキャップや和光のCDIとイグニッションコイル、NGKのプラグコード、クスコのアルミタワーバーなどを装着。





キャブはソレックスのφ44mm。本誌で登場するハチマル車の多くがインジェクションとなっているので、キャブのクルマは新鮮。燃圧計も装着している。「速さは最新の軽自動車にも敵わないですが、キャブらしい音やフィーリングはいいですね」とオーナー。





マフラーと合わせて、エキゾーストマニホールドはトラスト製を選択。




OWNER’S VOICE


 本誌23号に続いての登場となったオーナー。本文でも触れたが、この個体は購入時にはすでにスタイルができ上がっていた。前オーナーはパーツ収集家で、純正・社外問わず、当時のレアなアイテムを多数所有しており、それも一緒に譲り受けたそうだ。「登録抹消の部品取り車として引き取ったのですが、『これだけのクルマは公道復帰させることが望ましい』と思うようになり、各部に手を入れて厳しい新規車検をパスさせました。実動のまま後世に残し、クルマ目線で80年代を伝えていけるとうれしいですね」とオーナーは語る。

1981年式 マツダ ファミリア 1500 3ドア ハッチバック XG(BD1051)
SPECIFICATIONS 諸元
全長×全幅×全高(mm) 3955×1630×1375
ホイールベース(mm) 2365
トレッド前/後(mm) 1390 / 1395
車両重量(kg) 820
エンジン型式 E5型
エンジン種類 直列4気筒SOHC
総排気量(cc) 1490
ボア×ストローク(mm) 77.0×80.0
圧縮比 9.0:1
最高出力(ps / rpm) 85 / 5500
最大トルク(kg-m / rpm) 12.3 / 3500
変速比 1速 3.416 / 2速 1.947 / 3速 1.290 / 4速 0.918 / 5速 0.775 / 後退 3.214
最終減速比 3.850
ステアリング ラック&ピニオン
サスペンション ストラット(前後とも)
ブレーキ前/後 ディスク / リーディング&トレーリング
タイヤ 175 / 70SR13(前後とも)
発売当時価格 103.8万円



初出:ハチマルヒーロー 2015年 05月号 vol.29(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1981年式 マツダ ファミリア 1500 3ドア ハッチバック XG(全3記事)

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【1】【2】から続く

text : Rino Creative/リノクリエイティブ photo : MAKOTO INOUE/井上 誠

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