旧車らしさを重視してキャブ仕様に「L28型改3.1Lなどと比べても、トルクがひと回り太いし、エンジンの吹け上がりもスムーズ」|1974年式 日産スカイライン HT 2000 GT

RB30型ブロックにDOHCヘッドを合体して 全域でわき上がるトルクを実現したキャブ仕様

       
旧車乗りが求めるスタイルはさまざま。
絶対的な速さを求めるオーナーもいれば、オリジナル主義のオーナーもいる。
ここで紹介するケンメリGT-R仕様のオーナーは、ストリートでの扱いやすさと爽快なキャブサウンドを追い求めた。
そのため、エンジンルームに積み込まれたのはDOHCヘッド仕様のRB30型ユニット。
異色のスワップチューンドを紹介しよう。

【1974年式 日産スカイライン HT 2000 GT Vol.2】

【1】から続く

 本来、RB30型はシングルカム仕様だが、このケンメリではRB26型用DOHCヘッドを組み合わせる。ただし、ターボ用のためそのままだと圧縮が下がってしまうが、ヘッド面研やオリジナル鍛造ピストンにより対処。圧縮比を11:1まで引き上げることで、鋭いレスポンスを実現している。
「L28型改3.1Lなどと比べても、トルクがひと回り太いし、エンジンの吹け上がりもスムーズ。高回転時の振動も少なく、8000rpmまでストレスなく回ります」と話す相原さん。

 ECU制御のRB型ユニットに換装するとなると、当然インジェクション化が当たり前。ところが、旧車ならではの味わいを残すべく、あえてキャブレターにこだわっているのもポイント。そのためにRB型用のインマニを加工流用し、ソレックスキャブをドッキング。クランクセンサー部に赤外線式のピックアップを仕込み、同時点火でコントロールしている。

 そのかいあって、エンジンは一発始動。街乗りでのぐずつきも一切なく、いざアクセルを踏み込めばストレスのない加速を見せる。まるでインジェクションとキャブレターのいい所取りのエンジンに仕上がっているのだ。


>>【画像34枚】対向4ポットのR32タイプM純正を流用したフロントキャリパーなど



RB30型ブロックにRB26型のDOHCヘッドをドッキング。ヘッドがターボ仕様のため圧縮比を高めたほか、燃焼室やポート形状も最適化。クランク角センサー部分にワンオフの赤外線式のピックアップを組み込み、同時点火にしている。スケルトンカバー越しに調整式の東名パワード製カムプーリーが見える。






水温の安定化を図るべくアルミラジエーターに変更し、電動ファンも追加する。RB30型ブロックはロングストローク設計のためハイトがあるが、ギリギリのクリアランスでうまく搭載しているのが分かるはず。






S20型やL型に強いアール・ファクトリーだが、RB型チューンにも精通。この車両にも同店が手がけたこと証明するプレートが貼り付けられる。



1974年式 日産スカイライン HT 2000 GT(KGC110)
SPECIFICATIONS 諸元
■エクステリア:ボディフルレストア、純正GT-R用前後オーバーフェンダー/フロントグリル/リアガーニッシュ/リアスポイラー/白ガラス/エンブレム、ベロフ製HIDライト
■エンジン:RB30型換装(φ86mm×75mm)、圧縮比11.0:1、288度ハイカム、強化バルブスプリング、アール・ファクトリー製鍛造ピストン、RB25ヘッド流用、強化バルブスプリング、ポート研摩、燃焼室加工、ヘッド面研、東名パワード製カムプーリー、オイルキャッチタンク
■吸排気系:ソレックス44PHH、アール・ファクトリー製φ45mmタコ足/ワンオフインマニ/φ76.3mmマフラー
■点火系:クランク角センサー内にデスビ移植、和光テクニカル・スーパーZコイル/フルトラLA-700FX
■冷却系:アルミラジエーター、オイルクーラー
■燃料系:ASW製燃料ポンプ
■駆動系:OS技研製ツインプレートクラッチ、71Bクロスミッション、LSD
■ブレーキ: (F)R32タイプM用キャリパー (R)純正ディスクブレーキ
■インテリア:亀有製追加メーター(水温、油温、燃圧)、大森製追加メーター(油圧)、エアコン、NAVIAカーナビ、ケンウッド製ヘッドユニット、ブリッド製バケットシート(2脚)、HPI製ハーネス、パワーステアリング移植
■タイヤ:ファルケン (F)225/50R15 (R)245/50R15
■ホイール:RSワタナベ(F)15×9.0J -15 (R)15×10J -15


【3】に続く

初出:ノスタルジックスピード 2017年11月号 vol.014(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1974年式 日産スカイライン HT 2000 GT(全3記事)

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【1】から続く

text : DAISUKE ISHIKAWA/石川大輔 photo : TAKASHI AKAMATSU/赤松 孝

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