1954年「この時代にオールアルミ製」最終的には1993年まで製作された名エンジン|アルファロメオ GT 1300 ジュニア

エンジンルームに収まった1300ユニット。ヘッドカバーは黒い結晶塗装が施されている。キャブはウエーバー40DCOE33の貴重な初期ロットを装着。

       
ノスタルジックヒーロー 珍車秘宝館第2回。
今では当たり前のツインカムエンジンだが、1920年代にDOHCヘッドを持つ市販車を造っていたのがアルファ・ロメオ。その血統を受け継ぐアルファ1300ユニットとは!?

【アルファロメオ GT 1300 ジュニア Vol.2】

【1】から続く

 数年前、GT1300ジュニアのエンジンをフルOHしたことがあり、その記録を確認しながら珍車秘宝館館長の解説が続く。
「このGT1300ジュニアのエンジンは、1954年にデビューしたジュリエッタシリーズの1.3Lエンジンがベースで、その後、最終的には1993年まで製作された名機です。まず驚くのが、この時代にオールアルミ製です。ヘッドはもちろんブロックもアルミ製で、当時の最新技術が盛り込まれています」と館長。国産車では、ホンダSシリーズも総アルミエンジンを採用していたが、世界的に見ても珍しいそうだ。

「ヘッドを外して燃焼室を見ると、何のへんてつもない半球形の2バルブです。ただし、この形状は日本ではおなじみで、トヨタの名機2T‐G型がよく似た形状を採用しています。おそらく、設計の段階でアルファのエンジンを参考にしたのでしょう」と館長。

 2T‐G型の燃焼室形状と比較してみたところ、2T‐G型の燃焼室は、吸排気効率を上げるため大径バルブを採用している。そのためプラグの位置が端に寄っていて、アルファは中央にプラグがある。この差が燃焼効率に影響するのは当然。アルファがビッグバルブを採用する際は、プラグを両端に設けるツインプラグ方式を採用している。ちなみに、トヨタがツインプラグ化するのは3T‐GTEU型からだった。

>>【画像17枚】降ろしてバラしている最中。総アルミエンジンなので、サビがないエンジンなど



トヨタの2T-G型エンジンのヘッド。プラグホールが端に寄せられているのが分かる。





アルファ1300の燃焼室。バルブ径は2T-G型より小さいが、プラグが中央に配置されている。しかも、50年以上前なのに燃焼室を機械加工で形状を仕上げてあるのが分かる。





美しいフィンが刻まれたアルミ製のオイルパン。





オイルパン側は、まるで迷路のように通路で仕切られている。コーナリングや加速時に発生する、オイルの片寄りを防止するため、隔壁が設けられている。



【3】に続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2016年 12月号 Vol.178(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

アルファロメオ GT 1300 ジュニア(全3記事)

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【1】から続く

photo & text:珍車秘宝館 館長

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