マツダに入社した時からのあこがれ。定年間近に見つけた1台目は「草むらのヒーロー」状態|1966年式 マツダ ファミリア クーペ

シンプルな日本電装製3連メーターを装備。左からスピード、タコ、燃料・水温などのコンビメーター。

       
【1966年式 マツダ ファミリア クーペ Vol.3】

【2】から続く

 取材車両のオーナーは、マツダで車両開発に長年携わってきた方。2009年に定年を迎えたが、その後も嘱託社員として会社に残り、後進の指導に当たっている。

「ファミリアクーペは、私が会社に入社した時(1968年)のあこがれのクルマでした。ずっと探していましたが、なかなか見つかりませんでしたね」

 そして定年退職間近のある日、ネットオークションでファミリアクーペを発見。しかし出品地は自宅のある広島県からかなり遠い東北地方で、オーナーによると「草ムラのヒーロー」状態だったという。しかしこの機会を逃すまいと落札。運搬トラックを借りて、往復36時間かけて自宅に持ってきた。結果としてこの個体が1台目で、部品取り車として活用されることになる。

 そして2台目は、2011年3月にネットオークションで落札することに。

▶▶▶【画像23枚】書体も独特な、左テールランプの下にレイアウトされたMAZDAのエンブレムなど



後のコスモスポーツ、ファミリアロータリークーペ、ルーチェロータリークーペに通じる、アルミ3本スポークのウッドステアリングが装着されるインストルメントパネル。





クーペボディでありながら、ファミリーユースができる5人乗りであることが、当時のカタログでもうたわれていた室内。前席には3点式シートベルトが標準装備となっていた。





後席は大人3人が座れる設計だが、タイヤハウスの張り出しもあり、少し窮屈かもしれない。





ファミリアクーペは、マツダの意欲作だった。当時の広報資料には「高速性能を重視し、スポーティーなムードを家族全員で楽しむことができるように設計された」と記してある。5人乗車を可能にしつつ、見事なバランスでクーペに仕立てたデザイン感覚は、今も色あせていない。とても完成度の高いフォルムを持っている。


1966年式 マツダ ファミリア クーペ(MPA)
Specification 諸元
全長 3700mm
全幅 1465mm
全高 1345mm
ホイールベース 2190mm
トレッド前/後 1200 / 1190mm
最低地上高 160mm
室内長 147mm
室内幅 1250mm
室内高 1080mm
車両重量 790kg
乗車定員 5名
最高速度 145km / h
登坂能力 sinθ0.366
最小回転半径 4.4m
エンジン型式 PA型
エンジン種類 水冷直列4気筒SOHC
総排気量 985cc
圧縮比 10.0:1
最高出力 68ps / 6500rpm
最大トルク 8.1kg-m / 4600rpm
変速機 前進 4段 / 後退 1段 前進フルシンクロメッシュ
変速比 1速 3.655 / 2速 2.185 / 3速 1.425 / 4速 1.000 / 後退 3.655
最終減速比 4.111
燃料タンク容量 40L
ステアリング形式 ボールナット式
サスペンション前/後 独立懸架コイルバネ / 半楕円形板バネ
ブレーキ前/後 ディスク / リーディングトレーリング
タイヤ前後とも 6.15-13-4PR
発売当時価格 64.8万円

初出:ノスタルジックヒーロー 2016年 6月号 Vol.175(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1966年式 マツダ ファミリア クーペ(全4記事)

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【1】【2】から続く

photo:NOBUTAKA KOREMOTO/是本信高

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