レッドゾーンは9000回転! ホンダの技術をつぎ込んだ360ccクーペ 3

インストルメントパネルと3本スポークのステアリングはシリーズ通して共通のデザインだ。グローブボックスは開くとテーブルになる仕掛け。

71年式 ホンダZ GS

「ボディのレストアをしてくれたウエスタンアートさん、エンジンOHを引き受けてくれたネオライフさんにはとても感謝してます」と語るホンダZ GSのオーナー、松丸さん。

 ボディカラーは元々ゼロブラックというツヤ消しの黒だったが、純正色のポップオレンジに再塗装。

 忠実さにこだわった色なのだが、ホンダ車のオレンジといえば、74年に発売されたシビックRSのサンセットオレンジの印象が強いため、時々、色合いが間違っていると思われることが不満点だという。

 また「最上級グレードだけに専用装備が多く、パーツの確保が大変ですが、ネットオークションなども活用して入手しています。
 一時は私が買い漁ったことで『Zのパーツのネットでの相場が上がった』と知人から言われたこともありました(笑)」


 このように情熱と愛をもってホンダZを維持している松丸さんだが、2020年にはZが発売50周年を迎えるため、仲間たちとの記念イベントも企画中とのことだ。

ちなみに 一昨年もう1台のホンダZ GTを入手したという。30年あまり納屋にしまわれていたフルオリジナル個体で、これを公道復帰させるためのレストア時間と予算の捻出が目下の懸案事項だ。


ホンダZのメーター
1万rpmまで刻まれたタコメーター。レッドゾーンは9000rpmとなっている。燃料計の下にあるアナログ時計はオプション装備で、水冷エンジンモデルになると水温計が配置される。



ホンダZの前シート
シートも車体同様にくたびれていたため、張り替えたが、日常的に乗っていると劣化が避けられないのが悩みどころだという。



ホンダZのリアシート
後部座席はカタログでは「大人2人、快適に過ごせるスペース」とうたわれているが、実際には大人が乗るには狭すぎるため、ほぼ使用されておらずきれいな状態のままとなっている。



ホンダZのトランクルーム
シート自体は高級感のある作りだ。リアシートを倒すことで、大きいラゲッジスペースを生み出すことができる。日常的に使用するにはこれで十分とのこと。


ホンダZのセンターコンソール
センターコンソールの下から突き出しているシフトレバーが特徴的。
コンソールの裏にはシフトロッドが見える。


ホンダZの天井コンソール
マップランプとルームランプが一体化したオーバーヘッドパネル。
航空機のコックピットを思わせるこういったパネルは一時期流行したが、軽自動車で初採用したのがホンダZだ。



71年式 ホンダZ GS(N360)

全長:2995mm
全幅:1295mm
全高:1275mm
ホイールベース:2000mm
車両重量:525kg
エンジン型式/種類:N360E型/強制空冷直列2気筒SOHC
総排気量:354cc
最高出力:36ps/9000rpm
最大トルク:3.2kg-m/7000rpm
サスペンション前/後:マクファーソン式独立懸架/半楕円リーフ
ブレーキ前/後:ディスク/リーディング・トレーリング
発売当時価格:46.3万円




掲載:ノスタルジックヒーロー 2019年4月号 Vol.192(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

photo:Masataka Miyano/宮野政崇

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