およそ10カ月しか発売されなかった最上級グレードとは? ホンダの技術をつぎ込んだ360ccクーペ  2

71年式 ホンダZ GS

 ホンダZ GSは、空冷エンジンの初期型モデルの中でも、およそ10カ月しか販売されなかった最上級グレード。
 なおかつシリーズを通して唯一の前輪ディスクブレーキ標準装備という希少なモデルである。

 松丸一治さんがこの個体を入手したのは22年前のこと。
 N360シリーズの軽自動車の魅力にハマり、さらにそこから派生したスポーツモデルのZに魅了され、どうせなら最上位グレードを、と探していたという。
 そんな時、「ノスタルジックヒーロー」のスワップミートコーナーに掲載されていたワンオーナーの個体を発見・購入したものだ。
 
 購入時はフルオリジナル状態であったものの、ボディ各所にサビや腐食が見られた状態だったという。

 走ること自体は問題なかったものの、06年にはボディのフルレストアを実行。
 さらに11年にはエンジンのオーバーホールを行い、現在の状態に仕上げられた。
 点火系をセミトランジスタ化した以外は、たゆまぬ努力でオリジナル状態を維持し続けている。



リアハッチはウインドー部分のみが開くというユニークな構造。
スペアタイヤや工具をトランクルーム下に収めるのは普通だが、車体後部から直接アクセスできる専用のリッドがあるのは非常に珍しい。



ホンダZのエンジン
空冷直列2気筒SOHCのN360E型エンジンは、9000rpmで36psを発生する超高回転型エンジン。



ホンダZのキャブレター
純正のケイヒン製CV型キャブレターを2連装する。

ホンダZのコーションプレート
車両型式はN360となっており、NコロことN360がベースとなっていることが一目瞭然である。
71年12月のマイナーチェンジでライフベースになり、型式もSAに変更となる。



ホンダZのエンジンステッカー
オイル、エアクリーナーの交換時期など記載したシールは塗装の際に剥がしたため、同じものを自作して貼り直している。





ホンダZのホイール
軽自動車としては初のPCV付き前輪ディスクブレーキを採用。
普通車も含めてもディスクブレーキの採用は珍しい時代だった。ホイールにはキャップレスホイールを採用している。



掲載:ノスタルジックヒーロー 2019年4月号 Vol.192(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

photo:Masataka Miyano/宮野政崇

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