エンブレムには型式名の意匠があった!? スポーツカーマニアをうならせた量産国産車初のMRマシン|1986年式 トヨタ MR2 Gリミテッド スーパーチャージャー Vol.1

このブルーマイカはスーパーチャージャー車専用色。

       

【1986年式 トヨタ MR2 Gリミテッド スーパーチャージャー Vol.1】


 エンジンを前後の車軸の中間に搭載し、リアタイヤを駆動させるミッドシップレイアウト。車体の中央に重量物が配置されるので慣性モーメントが小さくなり、「走る」「曲がる」「止まる」という3つの基本性能の向上が見込めることが最大のメリットだ。それゆえ、これまでにヨーロッパの高級スポーツカーや、数多くのレーシングカーにも採用されている。このように、運動性能を純粋に追求するのであれば最適と言えるミッドシップだが、その半面、生産コストが高くなり、一般的な市販スポーツカーが採用する例は非常に少なかった。しかし、そんな高級スポーツカーのアイコンともいえるミッドシップを、国産市販車に初めて採用したのがMR2なのだ。

 MR2のルーツは、1983年に開催された第25回東京モーターショーに出品されたコンセプトカー「SV‐3」。ショーの時点で「十分に市販可能なのでは? 」と言われるほど高いクオリティーで注目を集めていた。そして翌年の1984年6月に「MR2」と名を変えてデビュー。ネーミングの由来は「ミッドシップ・ランナバウト・2シーター」の略で、手軽に手に入れられるスポーティーパーソナルカーとして開発された。しかし、前述したように、すべてを専用設計するとなるとコストが増えてしまう。そこでトヨタは、80系カローラのコンポーネントを流用し、エンジンとミッションをそのまま運転席後方に配置することで、コストを大幅に抑えることに成功。そして、最上級グレードでも180万円を切るプライスで発売されたMR2は、若者を中心に大注目の存在になったのである。

▶▶▶【画像20枚】AWの文字が意匠に含まれている鷲鷹のエンブレムなど



ホイールは前車に装着していたOZレーシング。サイズは15インチだ。





右側ドア後方にあるエアインレットダクト。前期は2連ダクト形状だったが、後期ではFRP製になって写真のようなデザインに改められた。





こちらはエンジン後方のリアトランクスペース。決して広くはないが、ゴルフバッグひとつなら収納可能。この個体には、オプションのトランクマットも装備されていた。


トヨタ MR2 Gリミテッド スーパーチャージャー(AW11)
Specification 諸元
全長×全幅×全高(mm) 3950×1665×1250
ホイールベース(mm)  2320
トレッド(mm) 1440(前後とも)
車両重量(kg)  1100
エンジン型式  4A-GZELU型
エンジン種類 水冷直列4気筒DOHCスーパーチャージャー
総排気量(cc) 1587
ボア×ストローク(mm) 81.0×77.0
圧縮比 8.0:1
最高出力(ps/rpm) 145/6400
最大トルク(kg-m/rpm) 19.0/4400
変速比 1速 3.230 / 2速 1.913 / 3速 1.258 / 4速 0.918 / 5速 0.731 / 後退 3.583
最終減速比 4.285
ステアリング ラック&ピニオン
サスペンション ストラット(前後とも)
ブレーキ前/後 ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤ 185/60R14(前後とも)
発売当時価格 225.0万円

【2】に続く

初出:ハチマルヒーロー 2014年 08月号 vol.26(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1986年式 トヨタ MR2 Gリミテッド スーパーチャージャー(全3記事)

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text : Rino Creative/リノクリエイティブ photo : KIYOSHI NISHINO/西野 キヨシ

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