マニアの間で初期型と呼ばれる特徴とは?|1964年式 ホンダ S600 Vol.2

コンパクトにまとめられたスポーツカーらしいコクピット。ステアリングは年式によって3タイプあり、S500からS600初期型に採用されたウッドトリムのタイプ。

       
【1964年式 ホンダ S600 Vol.2】

【1】から続く

 デビュー当初のS600は、S500から外観も変更されている。3本の横棒によるシンプなグリルは、目の細かい格子状になり、直線だったフロントバンパーは中央が凹状に下がったデザインが採用された。また、S600は2年ほどの間に1万台以上が生産されたが、この間にも仕様変更が行われている。マニアの間で初期型と呼ばれる特徴は、S500と同じヘッドライトカバーが装着されているのがポイント。このガラス製のヘッドライトカバーが貴重で、装着車も少ない。

 今回紹介するS600は、貴重な初期型。2トントラックのコンテナに保管されていたクルマで、全体的にサビがひどかったそうだが、実走距離が2万3600kmだった。
「ほとんど腐食はなかったのですが、ボディとフレームを切り離してサビを落とし、入手できる新品、中古部品を惜しみなく使ってフルレストアしました」と小倉さん。路上復帰までには登録などの困難があったそうだが、現在は絶好調で、軽快な走りを楽しんでいる。

▶▶▶【画像23枚】1964年11月には廃止されたS500からS600の初期型まで装着されていた特徴的なヘッドライトカバーなど



右側は180km/hのスピードメーター、左側は9500rpmからレッドゾーンとなる1万1000rpmスケールのタコメーターでともに日本電装製。中央にはターンシグナルとハイビームのランプがある。




シートは純正のイメージで張り替えられている。





オールアルミ製606cc4気筒DOHCのAS285E型エンジン。写真の左上にラジエーター、左下にバッテリーを配置。フルOHされたエンジンは、鋭く吹け上がっていた。


1964年式 ホンダ S600(AS285)
Specification 諸元
全長 3300mm
全幅 1430mm
全高 1200mm
ホイールベース 2000mm
トレッド前/後 1150 / 1128mm
最低地上高 160mm
室内長 840mm
室内幅 1195mm
室内高 935mm
車両重量 720kg
乗車定員 2名
最高速度 145km / h
0→400m加速 18.7秒
登坂能力sinθ 0.33
最小回転半径 4.3m
エンジン型式 AS285E型
エンジン種類 水冷直列4気筒DOHC
総排気量 606cc
ボア×ストローク 54.5×65.0mm
圧縮比 9.5:1
最高出力 57ps / 8500rpm
最大トルク 5.2kg-m / 5500rpm
トランスミッション型式 前進4段後退 1段シンクロメッシュ
変速比 1速 3.29 / 2速 2.19 / 3速 1.43 / 4速 1.091 / 後退 3.89
最終減速比 5.88
燃料タンク容量 25L
ステアリング形式 ラック&ピニオン(15.1)
サスペンション 前/後ダブルウイッシュボーン・トーションバー / トレーリングアーム・コイル
ブレーキ 前後ともリーディングトレーリング
タイヤ 前後とも5.20-13-4PR
発売当時価格 50.9万円



【3】に続く

初出:Nostalgic Hero 2016年 4月号 vol.174(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1964年式 ホンダ S600(全3記事)

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【1】から続く

text : Rino Creative/リノクリエイティブ photo : KAZUHISA MASUDA/益田和久

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