64年式そのままの純正「西陣織」シート。そのサイド色に合わせて貼り直されたダッシュボード|1964年式 トヨペット クラウン デラックス Vol.2

横長のスピードメーター、ウインカーレバー兼用のホーンリングも、もちろん配線済みで作動する。

       
古いクルマを古いままで乗る場合、いつ起きるか分からないトラブルやパーツの入手などに悩まされることがある。
それならば、速さや快適性のためではなく、信頼性を得るために高年式エンジンに載せ換えようという考え方も生まれてくる。
色褪せない高級感をにじませる1964年式クラウンも、その考え方に共感し、ハイメカツインカムエンジンへのアップデートを果たした。

【1964年式 トヨペット クラウン デラックス Vol.2】

【1】から続く

 こう語ってくれたのは、オーナー。もともと旧車、特にクラシッククラウンにあこがれを抱いていたものの、仕事の関係からなかなか購入できずにいたそうだ。その状況に転機が訪れたのは約10年前で、旧車に乗れる環境を手に入れたことから、130系バン、110系前期バン、50系前期セダン、50系後期ワゴンと次々に入手。そして昨年の春に、いつか手に入れたいと思っていた「丸テール」のクラウンの購入へと踏み切った。

▶▶▶【画像17枚】西陣織の風合いが「和」を感じさせる、程度がよかったため張り替えずにそのまま使用している純正シートなど

 載せ換えをメインとするメカのアップデートとボディのレストアについては、関東エリアのクラシッククラウン乗りたちから厚い信頼を得ている栃木の「ケンオートモービル」に依頼した。クラウンの載せ換えというと、130系クラウンなどに搭載されていた1JZ型エンジン(DOHC2.5L)がメジャーだが、1JZ型が6気筒であるのに対し、丸テールのクラウンには4気筒しか設定がなかったため、エンジンルームの奥行に問題が生じた。

 そこで目を向けたのが、トヨタのセダンやミニバンなどで幅広く使われた3S-FE型エンジンで、あくまでもスピードではなく信頼性を求めたオーナーも、この意見に同意し、プロジェクトは動き始める。




「黒も考えたが、あまりにもフォーマルになりすぎる(笑)」と、ボディには現行センチュリーの純正色「摩周」でオールペイントされた。落ち着きある色調が時代を超えてクラウンにマッチ。




程度がよかった純正シートは、張り替えずにそのまま使用している。西陣織の風合いが「和」を感じさせる。



インパネ中央に位置する灰皿を開くと、そこには水温計と電動ファンスイッチが埋め込まれていた。クラシカルなインテリアの雰囲気を壊さない、オーナーならではの配慮が感じられる。


1964年式 トヨペット クラウン デラックス
SPECIFIVATION 諸元
■ エクステリア: センチュリー純正色(摩周)
オールペイント、GT071ドアミラー
■ エンジン : 3S-FE型エンジン載せ換え
(マウント加工)、ヘッドカバー結晶塗装
■ 冷却系 : 他車用流用ラジエーター
■ 駆動系 : 3S-FE型用4速オートマチック
ミッション(マウント加工)、他車用流用
プロペラシャフト、コンパニオンフランジ加工
■ サスペンション : 前後ローダウンコイル
■ ブレーキ : 軽自動車用マスターバック/
マスターシリンダー加工
■ インテリア : ダッシュパネル&ドアパネル張り替え、
電動ファンスイッチ&デジタルメーター
■ タイヤ : ミシュラン エナジーセーバー
(F)165/65R14、(R)165/65R15
■ ホイール : クレーガー キーストーンクラシック
(F)14×6J 、(R)15×6J


【3】に続く

初出:ノスタルジックスピード 2016年11月号 Vol.011(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1964年式 トヨペット クラウン デラックス(全3記事)

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text : AKIO SATO/佐藤昭夫 photo : RYOTA SATO/佐藤亮太

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