バルブスプリングはTRDの強化、しかし腰下はノーマル。頑なにライトチューンを維持するエンジンのワケは?|1980年式 トヨタ スターレット SE Vol.2

長く放置されていたTSワイドボディを、マルチに使えるカジュアル仕様として再生。

       
譲り受けたKP61は、製作途中のTS仕様だった。長く不動状態だったこともあり、いざ走らせてみると、ヘッド、ミッション、ドライブシャフトなど、機関系のあらゆるところからオイル漏れが発生。まずは、各部のシール、パッキン、ガスケット類を総取り換えしてリフレッシュ。その後、前オーナーが目指していたTSスタイルを完成させ、日々の買い物からサーキット走行まで、幅広いステージをカバーするオールラウンドスポーツとして再生した。インパクトのあるルックスと気軽に乗りこなせるカジュアルさのギャップがたまらない。

【1980年式 トヨタ スターレット SE Vol.2】【1】から続く

 ハコスカから乗り換えることとなったKP61。エアロを装備し、オールペイントも実施するなど、かなり本気の仕様に外装は仕上がった。

 その一方で、頑なにライトチューンを維持するのがエンジン。オーバーホールついでにポート径が大きい3K型ヘッドに載せ換え、さらにポートの拡大と研磨も施すが、腰下はあくまでも4K型のノーマルにこだわる。気軽に普段使いができ、なおかつサーキットでのトラブルリスクを回避するのが最大の目的。高回転まで回したときの保険としてバルブスプリングはTRDの強化に変更し、カムや圧縮比はあえて信頼性の高いノーマルを継承する。

▶▶【画像31枚】4K型エンジンは腰下ノーマルをキープ。ソレックス40PHHはフロート調整のしやすさが気に入っている4型をチョイス。限られたスペースでギリギリの50mmを装着しているファンネル など

 ノーマル4K型のポテンシャルを引き出すため、キャブレターは全域でストレスなく使えるソレックス40PHHをセレクト。フロート調整がしやすい4型を好んで使う。フジツボのタコ足やマフラーはスペアもキープするが、ヤフオクを多用してなるべくコストを抑え、DIYチューンを満喫している。

 ミッションはSEグレード純正のK40型4速MTからSグレードのK50型5速MTへと換装。サーキットがメインならクロス化かファイナル変更でローパワーをカバーしたいが、唐突感が強まる可能性もあるので、タウンユースとの両立を考えた結果、K50ノーマルがベターだと判断した。

 フットワークやブレーキについては選択肢が豊富なAE86用パーツを積極的に導入。あくまでもストリートでの快適性を重視するが、バネレートはあまりソフトだとタイヤとフェンダーが干渉するので、乗り心地が悪化しない程度にレートを高めてある。



長く放置されていたTSワイドボディを、マルチに使えるカジュアル仕様として再生。




軽量化のためにカーペットなどは取り払われているが、コクピットまわりはノーマルのテイストを維持するため、ダッシュボードやメーターフードが残される。





スピードメーターとタコメーターは純正をそのまま使い、大森メーターの油温、油圧、水温の各メーターをセンターコンソールに追加している。





現在は2シーターとなっているが、後部座席があったスペースにバッテリーを移設して重量配分を調整。バッテリーケースはオクヤマ製。





ラゲージスペースには、ステーを製作してニスモの燃料ポンプや燃料フィルターをキレイにマウント。いずれはカバーも作るつもりだ。なお、使用しているポンプは1基で、もう1基は予備として常設している。



1980年式 トヨタ スターレット SE(KP61)
SPECIFICATION 諸元
●エクステリア:当時モノTSワークスフェンダー仕様、ブランウン全塗装
●エンジン:4K-U型(1290cc)、ボアφ75mm、ストローク73mm、圧縮比9.0、強化バルブスプリング
●吸排気系:ソレックス40PHH(4型:アウターベンチュリーφ32mm、メイン130、エア155)、フジツボ製タコ足&ストレートマフラー(φ50mm)、AE86用スポーツ触媒
●冷却系:16段オイルクーラー、亀有製オイルブロック、ステンメッシュホース
●燃料系:ニスモ燃料ポンプ
●駆動系:戸田製軽量フライホイール、強化クラッチ、TRD製LSD(ファイナル3.7)
●サスペンション:(F)AE86用流用車高調、スイフト製スプリング(8kg/mm)、TRD製AR92用ダンパー、ピロロワアーム、 (R)AE86用ダンパー、スプリング(4kg/mm)、ボディ側ピロリンク
●ブレーキ: (F)AE86用ローター&キャリパー流用、エンドレス製パッド
●インテリア:トイボックス#73乱レーシングφ31mmステアリング、大森追加メーター(油温、油圧、水温)、フルバケットシート(左右)、サベルト製4点式ハーネス、7点式ロールケージ(2名乗車登録)
●タイヤ:クムホ V700 (F)175/60R13、
(R)215/50R13
●ホイール:ハヤシストリート コマンド (F)13×8J 、
(R)13×10.0J


【3】に続く


初出:ノスタルジックスピード 2016年11月号 vol.011(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1980年式 トヨタ スターレット SE(全3記事)

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text : HIROSHI SHOUMATSUMOTO/正松本 宏 photo : RYOTA-RAW SHIMIZU/清水良太郎

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