こなたL28型改3Lを積み込んだ「匠のワイドボディ」。もうひとつの遺伝子|1977年式 日産 フェアレディ Z-T

バンパーレス化に伴いナンバーポケットを設けるなど、細かい部分にも配慮している。ブルーのボディに対しては、レンズ類をクリア化するコーディネート。

       
L型フルチューンユニットの突き抜けるようなキャブサウンドが東京の大空に響き渡る。オレンジとブルー。スターロードが手掛けた2台のS30フェアレディZが、夜明けの首都高速を駆け抜ける光景は、滑走路をスクランブル発進していく戦闘機と姿が重なる。その理由はなぜか? いずれも極限まで理想を突き詰めたフォルムであるからにほかならない。圧倒的なスピード感と官能的な美しさの、見事なまでの融合。ここでは、懐かしのレーシングシルエットを彷彿とさせる「匠のワイドボディ」に注目したい。

【1977年式 日産 フェアレディ Z-T】

 もう1台のブルーのS30Z。こちらはオールペイントを機に、ワイドボディ化を果たしたオーナーカーだ。
「5年ほど前からお世話になっているスターロードの井上社長に声を掛けてもらい、そのスタイルにほれ込み、ワイドボディ化を即決しました」とオーナー。

【画像40枚】安全性を重視して純正を使用しているボンネット。ブラックカットディスクにブロンズアルマイトリムという組み合わせのホイールなど

 もともと同社のバンパーレスキットを付けていたが、そのデザインを継承しつつ、さらに迫力が出せる点に引かれたという。このワイドボディは深みがあるブルーのボディカラーとの相性も抜群で、渋さをさらに引き上げる。

 いずれのS30Zも足元を飾るのはオリジナルホイールの「GROW STAR」だ。極限まで深リム化したデザインも、一体感を出すのに一役買っている。「速くて、美しい」。スポーツカーの本質を追い求めたクルマ作りは、すでに大きな反響を呼んでいる。その仕上がりのよさには脱帽せざるを得ない。



心臓部に収まるL2.8L型改3L仕様のエンジンは、N42ブロックにスターロードのSPLヘッドという組み合わせ。ビックバルブ化や燃焼室の容積合わせなど、キッチリと仕上げられたユニットだ。





純正ダッシュボードは、新品同様にリペアしたものを装着しているが、いわれないと気付かないレベルだ。電動パワステ&クーラー付きの快適仕様なので、街乗りも苦にならない。





2014年に始動したワイドボディプロジェクト、オレンジZとブルーZの2台が完成!!


1977年式 日産 フェアレディ Z-T(S31)
SPECIFICATION 諸元
■エクステリア:ボディセミレストア、スターロード製ワイドボディキット/グリル、モンテレブルー(Z33前期)全塗装、プロジェクターヘッドライト、クルーズ製LEDヘッドライトバルブ
■エンジン:L28型改3.0L(300ps仕様)、【ヘッド】燃焼室加工(含容積合わせ)、カッター跡修正&形状修正(ヘアライン仕上げ)、ポート拡大加工(オリジナル形状)(IN)ヘアライン仕上げ(EX)半鏡面仕上げ、水圧テスト済み、上面修正、オリジナルプロフィール75度カムシャフト(9.75mmリフト)、45/φ36.5-118mmビッグバルブ、ABB/PBBバルブガイド、SPL形状シートカット(カムシャフトセンター基準にて)、ハイリフト対応ハイレートバルブスプリング、オフセットリテーナー(特殊鋼)、強化バルブコッター(タフトライド処理品)、スライド式カムスプロケット【ブロック】N42フル加工(クランクキャップボルトサイズUP+ラインボーリング+クランクセンター裏ボーリング+上下面研+ダミー付きボーリング+オイルクリアランス測定+メタル選定+戻り側チェーンガイド穴OS加工+パルホスM処理)、ASW製 鍛造ピストン(2013スペック)/137.5mm I断面コンロッド(500g)/83mmフルカウンター クランク、ニスモF119素材強化メタル、セルモーターオフセットスペーサー組み込み
■電気系:マロリー製デスビ、スターロード製ブラックオルタネーター
■吸排気系:ソレックス44PHH、スターロード製オリジナル

初出:ノスタルジックスピード 2016年11月号 vol.011(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1977年式 日産 フェアレディ Z-T(全1記事)

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text : DAISUKE ISHIKAWA/石川大輔 photo : MOTOSUKE FUJII(SALUTE)/藤井元輔(サルーテ)

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