Z432への情熱が再燃「買うと決めてから、かれこれ5年はかかりました」|1970年式 日産 フェアレディ Z432 Vol.3

黒一色で統一されたZ432のインテリア。ステアリングは純正のウッドタイプに部分的に革巻き加工を施している。スムーズに車庫入れできるよう電動パワーステアリングを装着。

       
初代フェアレディZのなかでも、生産台数55万台のうち420〜430台と非常に希少なのが、スカイライン2000GT‐R(PGC10)と同じS20型エンジンを収めるZ432(PS30)だ。オーナーは、

【1970年式 日産 フェアレディ Z432 Vol.3】

【2】から続く

 きっかけは、書店で偶然に手にしたノスタルジックヒーロー本誌。
 誌面を飾る懐かしの旧車たちが、Z432への情熱を再燃させた。

「買うと決めてから、かれこれ5年はかかりましたね。いろいろと探し回ってようやく程度極上の初期型432を手に入れたものの、実はエンジンの調子が悪くてまともに走らなかった。でも、好きなクルマのためなら……と覚悟を決め、エンジンをOHしたうえで、ボディもフルレストアしました」。

 入手できる部品はすべて新品に交換し、社外パーツもできる限り純正に戻した。そうした苦労の甲斐もあり、現在は抜群のコンディションを保つ。また、Z432のために建てたというガレージも、状態の維持に一役買っている。

コンディション抜群のインテリア。初期型の特徴であるリアガラス下のエアアウトレットなど【写真25枚】



 Z432に乗る楽しみのひとつという旧車のミーティングには意欲的に出掛け、遠征もいとわない。新潟県から秋田や静岡まで自走で行ったというから、その行動力には驚かされるばかり。

「還暦を迎えると赤いチャンチャンコを着ますよね。だから、私はこのS20型のヘッドカバーを赤くしてもらったんです」とオーナー。その笑顔から、第二の青春を存分に謳歌していることがうかがえた。「憧れの1台」というクルマ好きにとって最高のカンフル剤を手にしたオーナーは、若さにあふれている。

OWNER’S VOICE/OHしたエンジンは快調で、各地のイベントに自走で参加

「ロングノーズ&ショートデッキの美しいスタイルにほれ込みました。発売当時は懐に余裕がなかったので、サニーやカリーナを買ってドライブや走りを楽しんでいましたね」とオーナー。このZ432を手に入れて早8年が経過するが、年に10度ほどイベントやミーティングに出かけるそうで、日本海クラシックカーレビューに出展した際には、前オーナーがわざわざ会いに来てくれた。そうしたコミュニケーションの輪が広がるのも旧車の魅力だ。



タコメーターは1万回転まで刻まれ、レッドゾーンは7400rpmからはじまる。購入時は6万5000kmだった走行距離は8万2832kmまで伸びたそうだ。





Zのアイデンティティーとなる3連メーター。油圧計の目盛りが「10」まであるのがS20型エンジンを搭載するZ432の特徴。





初期型ではシフトノブの後方に2個のレバーがある。スターターとスロットルのレバーで、暖機運転などの際に使用できるようになっている。ただし、強度不足のせいか割れてしまうことも。



1970年式 日産 フェアレディZ432(PS30)
SPECIFICATIONS 諸元
全長 4115mm
全幅 1630mm
全高 1290mm
ホイールベース 2305mm
トレッド前/後 1355/1345mm
最低地上高 165mm
室内長 835mm
室内幅 1390mm
室内高 1070mm
車両重量 1040kg
乗車定員 2名
最高速度 210km/h
登坂能力 sinθ0.462
最小回転半径 4.8m
エンジン型式 S20型
エンジン種類 水冷直列6気筒DOHC
総排気量 1989cc
ボア×ストローク 82.0×62.8mm
圧縮比 9.5:1
最高出力 160ps/7000rpm
最大トルク 18.0kg-m/5600rpm
燃料供給装置 ソレックス40PHH×3
変速比 1速 2.957/2速 1.858/3速 1.311/4速 1.000/5速 0.852/後退 2.922
最終減速比 4.444
燃料タンク容量 60L
ステアリング形式 ラック&ピニオン式
サスペンション 前後とも独立懸架ストラット式
ブレーキ前/後 ディスク/リーディングトレーリング
ホイール 5.5Jマグネシウム製
タイヤ 前後とも 6.95H-14-4PR
発売当時価格 185万円


初出:ノスタルジックヒーロー 2015年 10月号 vol.171(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1971年式 日産 フェアレディZ(全3記事)

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text : DAISUKE ISHIKAWA/石川大輔 photo : MOTOSUKE FUJII(SALUTE)/藤井元輔(サルーテ)

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