最後のドライバーは・・・購入から14年が経った頃、車検を切って保管することに|1971年式 日産 フェアレディZ Vol.2

ステアリングは当時の純正ウッドステアリング。スポークに穴があるタイプで、最初期型は穴がなかった。

       
初代S30フェアレディZがデビューしたのが1969年のこと。後期型となるS31の販売も78年で終了した。当時は、高度成長期であったとはいえ、趣味性の高い2シーターのスポーツモデルであるS30Zを購入できるのは、ごく限られた裕福な人。しかも、20代のオーナーとなると、極めて少数だった。今回紹介するのは、そんなS30Zのオーナーだ。

【1971年式 日産 フェアレディZ Vol.2】【1】から続く

 Zは、S30シリーズのベーシックモデルで、エンジンは水冷直列6気筒SOHCのL20型エンジンにSUツインキャブが装備され、ミッションは4速MTが組み合わされる。ただし、車両重量はS30/S31シリーズ中、最も軽量な975kgとなっている。


【画像16枚】純正スペックでOHされ快調なL20型エンジンや、ワーナーシンクロに3分割となる「FS4W71A」4MTミッションなど


 オーナーは、このZに乗って東京へも3、4回出かけたことがあるそうだ。当時、完成間もない東名高速道路を走っていた時の思い出を語ってくれた。

「東名でトラックを追い抜いたところ、その前にいたトラックが急に追い越し車線に出てきて、思わずフルブレーキをかけたんです。タイヤから白煙を上げて滑りながら減速したんです。ところが、後ろから大型トラックが来て、挟まれそうになったんです。もうダメかと思った時、前のトラックがどいてくれたので、私は加速して難を逃れることができたんです」と、このZで命を救われたエピソードを語ってくれた。

 そして購入から14年が経った頃、車検を切って保管することになった。その最後のドライブは、このZを気に入っていた奥さんが担当し、ガソリンを使い切ってガレージに止めたそうだ。



吸気は純正のSUキャブレターで、口径φ38mm。ピットハウスでエンジンをOHする際に、SUキャブもすべてバラして消耗部品などを交換し、まるで新品のように仕上げられている。エアクリーナーBOXやボルト&ナット類もピカピカだ。




ヘッドとブロックは当時のままで、OH時にブロックは再塗装している。L20型エンジンには「E30」の刻印がある。





セルモーターは、OH時にリダクションタイプに交換し、始動性をアップ。


1971年式 日産 フェアレディZ(S30)
SPECIFICATIONS 諸元
全長 4115mm
全幅 1630mm
全高 1285mm
ホイールベース 2305mm
トレッド前/後 1355/1345mm
最低地上高 160mm
室内長 835mm
室内幅 1390mm
室内高 1070mm
車両重量 975kg
乗車定員 2名
最高速度 185km/h
登坂能力 sinθ0.423
最小回転半径 4.8m
エンジン型式 L20型
エンジン種類 水冷直列6気筒SOHC
総排気量 1998cc
ボア×ストローク 78.0×69.7mm
圧縮比 9.5:1
最高出力 130ps/6000rpm
最大トルク 17.5kg-m/4400rpm
燃料供給装置 SU型×2
変速比 1速 3.549/2速 2.197/3速 1.420/4速 1.000/後退 3.164
最終減速比 3.700
燃料タンク容量 60L
ステアリング形式 ラック&ピニオン式
サスペンション 前後とも独立懸架ストラット式
ブレーキ 前/後ディスク/リーディングトレーリング
タイヤ 前後とも6.95H-14-4PR
発売当時価格 93万円


【3】に続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2015年 10月号 vol.171(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1971年式 日産 フェアレディZ(全3記事)

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photo : RYOTA-RAW SHIMIZU/清水良太郎

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