【1961年式 トヨペット クラウン ピックアップ Vol.3】
アメ車を思わせるレトロボディに、ドラッグレースのテイストを注入
【1】【2】から続く 製作にあたっての最大の難所は、サイズ合わせだ。全長4420mm、全幅1680mmのクラウンに対して、カプリスは全長5438mm、全幅1968mmと、長さも幅もまるで違う。となると、エンジンの載せ換え1つをとっても、現物合わせによる大幅な加工が必要だ。具体的にはエンジンが載っているカプリスのフロントメンバー中央を切って詰め、エンジン位置を下げるためにそのメンバーに高さを薄くするスライス加工が施されている。
これでエンジンはボンネット内に収まった。ただし車幅の関係から下側に向けられないエキマニは、エンジンから出たあと一度上向きにされ、エンジン横を通過してから下に向かい、そこで集合してワンオフのマフラーへとつながる構造をとっている。以上の加工が必要なほど、クラウンのフード内にV8を収めるのは至難のワザなのだ。
だが、窮屈なエンジンルーム内に、ブレーキのマスターシリンダーやブースターを置くことはままならず、これらは運転席後方のベッド下にマウントすることでスペースのなさを解決。
サスペンションにいたっては、フロントはアッパー、ロワーともにワンオフ製作のチューブラーアームに、リアはフォードの9インチデフのホーシングを片側4インチずつ詰め、さらに形式をリーフリジッドから4リンク式コイルに改良する大手術。プロペラシャフトはカプリス用をショート加工して長さを合わせるなど、前例のないスワップのための悪戦苦闘が続いた。
ボディはイチから作り直された下回りとはウラハラに、純正のよさをキープする道を選んだ。サビとは無縁のカリフォルニアにベースカーがあったこと、欠品パーツがなかったことは旧車をレストアするうえで幸いだったが、それでも50年以上も前のクルマ。ゴム類やレンズ、メッキ類の傷みは年式相応であり、フロントグリルや前後のレンズは奇跡的に見つけることができた新品に交換。ドアハンドルやゴム類は、程度のよいパーツとチェンジする手法でなんとか乗り切った。
バルブカバーには「Toyorod」のエンブレムが。これはToyopetのエンブレムをオーナーが加工したものだが、純正品であるかのような仕上がりにため息!
フロントのタイヤ&ホイールは、145R15とクレーガー•ストリートスター15×3.5Jの極細コンビ。フロントのタイヤ&ホイールは、145R15とクレーガー•ストリートスター15×3.5Jの極細コンビ。
対するリアは、295/50R15タイヤに、15×10.0Jのホイールという極太コンビ。この前後のバランスとアイテムのチョイスが、ドラッグレースの趣を漂わす。
Toyopetのエンブレムをオーナーが加工したバルブカバーには「Toyorod」のエンブレムのように、ボディにも「TOYOPET」エンブレムを置き換えた「TOYOROD」エンブレムなど【写真20枚】1961年式 トヨペット クラウン ピックアップ
SPECIFICATIONS 諸元
●エクステリア:ブルー/グレーオールペイント/ピンストライプ/
マスターライン用フロントグリル/フロントフェンダーフレア加工/
純正改リアバンパー/ハードトノカバー
●エンジン:シボレーLT1型/ビレットブラケット&プーリー/純正エンブレム改ワンオフエンブレム
●排気系:スチール製ワンオフマフラー(エキマニ含む)
●駆動系:1995年式シボレー・カプリス用4速MT/プロペラシャフト(ショート加工)/
フォード9インチデフ(片側4インチナロード加工)
●足回り: (F)ワンオフチューブラーアーム、(R)4リンク式+コイルオーバーショック/
補強フレーム追加/コイルオーバーショック
●ブレーキ:1995年式シボレー・カプリス用フロントディスクブレーキ
●ホイール:クレーガー•ストリートスター (F)15×3.5、(R)15×10.0
●タイヤ: (F)145R15、(R)ハーキュリーH/P4000 295/50R15
●インテリア:ドアトリム一体型ワンオフインパネ/55年式シボレー・トラック用アフターメーター/ビンテージエア・エアコンユニット/FLAT4フォーミュラGTステアリング/オーバーヘッドコンソール/1995年式シボレー・カプリス用フロントシート張り替え
【4】に続く初出:ノスタルジックヒーロー 2014年 12月号 Vol.166(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
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