「このクルマが売りに出ていると聞いて、冷やかしのつもりで見に行ったのですが」ニュージーランドから帰ってきた31前期型|1963年式 日産セドリック デラックス Vol.3|セダンの神髄

ここで紹介した31前期型のほかに、タテ目最終モデルの30セドリックも所有している佐藤勇輝さん。各地へのイベント参加やドライブを、奥さまとともに楽しんでいる。

       
【1963年式 日産セドリック デラックス Vol.3】

Vol.2から続く

 今回紹介するセドリックは、1963年式のデラックス。当時のセドリックは1448ccのスタンダード(31型)、1883ccのスタンダード(G31型S型)、スタンダードをより豪華にしたデラックス(G31型)、同クラス最大の全長とホイールベースを持つカスタム(H31型)、水冷直列6気筒OHV2825ccのK型エンジンを積むスペシャル(50型)という布陣を敷いていたので、デラックスはちょうど中間に位置したグレードだ。

 オーナーの佐藤勇輝さんは、「このクルマが売りに出ていると聞いて、冷やかしのつもりで見に行ったのですが、黒ではない明るいボディカラーと輸出仕様(ニュージーランド)という点が気にいって、去年手に入れました。だれか知らない人の手に渡り、純正のよさを損なうような改造をされるのもイヤでしたし」と、購入時のエピソードを話してくれた。

 その後、ペイントとメッキパーツの補修、機関の整備、電動ファンの取り付けなどを行い、休日の外出はもちろん、遠方のイベントにも積極的に自走で参加するほど、いつでもどこへでもセドリックを連れ出しているという。

 実際、取材の移動時に編集部スタッフも同乗させていただいたのだが、機関のスムーズさ、乗り心地のよさ、装備の動作などは、50年以上前のクルマとは思えないほど快適そのもの。「技術の日産」の看板は、長い年月を経た今でも曇ることなく、逆に時を隔てた今だからこそ、改めてそのレベルの高さを思い知らされた。

5ナンバー枠の変更に合わせて日産が送り出したH型エンジンなど【写真11枚】




1963年式 日産セドリック デラックス(G31)
SPECIFICATIONS 主要諸元
全長 4590mm
全幅 1690mm
全高 1505mm
ホイールベース 2630mm
トレッド前/後 1338/1373mm
最低地上高 190mm
室内長 1855mm
室内幅 1445mm
室内高 1180mm
車両重量 1240kg
乗車定員 6名
最高速度 140km/h
登坂能力sinθ 0.496
最小回転半径 5.6m
エンジン型式 H型
エンジン種類 水冷直列4気筒OHV
総排気量 1883cc
ボア×ストローク 85.0×83.0mm
圧縮比 8.5:1
最高出力 88ps/4800rpm
最大トルク 15.6kg-m/3200rpm
変速比 1速 3.945/2速 2.402/3速 1.490/4速 1.000/後退 5.159
最終減速比 4.625
燃料タンク容量 44L
ステアリング形式 リサーキュレーティングボール
サスペンション前/後 ウイッシュボーンコイル/半楕円リーフリジッド
ブレーキ前後とも ドラム
タイヤ前後とも 6.40-14 4P
発売当時価格 100万円

初出:ノスタルジックヒーロー 2014年8月号 Vol.164(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1963年式 日産セドリック デラックス (全3記事)

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text : AKIO SATO/佐藤昭夫 photo : MAKOTO INOUE/井上 誠

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