「半自動2速ノークラッチ車」ってどんな操作するの?|1963年式 トヨペット クラウン デラックス・トヨグライド付 Vol.3|セダンの神髄

2代目クラウンの、直線基調で低く長いフォルム。

       
【1963年式 トヨペット クラウン デラックス・トヨグライド付 Vol.3】

Vol.2から続く

「前進は常時2速。発進からDレンジに入れたままで走行。坂道の発進は手動でLレンジにチェンジ」

 2代目クラウンの生産は約5年にわたって行われたが、取材車両はその最初期型。さらにトランスミッションが「トヨグライド」仕様となっていて、当時のカタログには流体式自動変速機の文字もあったが、実際には「半自動2速ノークラッチ車」と説明したほうが正しく理解してもらえるだろう。

一番右がパーキングレンジ、2速がDレンジとなるシフトポジションインジケーターなど【写真14枚】



「前進は常時2速のため、発進からD(ドライブ)レンジに入れたままで走行しますが、変速はしません。坂道の発進は手動でL(ロー)レンジにチェンジします」と大塚さん。ちなみに63年6月、セダンより先にワゴンボディのクラウンカスタムに搭載されたトヨグライド・オートマチックは全自動変速となり、機構的にまったくの別物となる。

 半自動2速のトヨグライドを搭載し、現在走れる状態で維持されている個体は、全国で数台とのこと。取材車両もトラブルのため、過去2度もオーバーホールしており、油量の管理など、維持していくには苦労も多いという。

「国産自動変速機の草創期の機構で、大切な産業遺産だと思います。所有していることに誇りを感じています」
 今日のセダンの礎として、このRS41クラウンの姿を覚えておきたい。




メーカー系自動車販売会社に勤務する大塚 宏さん。
16台ものトヨタ車を乗り継いできたマニアで、「カローラ店80’s」というハチマル車のオーナーたちが集うグループのリーダーも務めている。


1963年式 トヨペット クラウン デラックス・トヨグライド付(RS41-C)
SPECIFICATIONS 主要諸元
全長 4610mm
全幅 1695mm
全高 1460mm
ホイールベース 2690mm
トレッド前/後 1360/1380mm
最低地上高 185mm
車両重量 1270kg
乗車定員 6名
最高速度 140km/h
登坂能力sinθ 0.36
最小回転半径 5.5m
エンジン型式 3R型
エンジン種類 水冷直列4気筒OHV
総排気量 1897cc
ボア×ストローク 88×78mm
圧縮比 8.0:1
最高出力 90ps/5000rpm
最大トルク 14.5kg-m/3400rpm
変速機形式 流体式トルクコンバーター、3要素1段2相式、前進2段・後退1段
変速比 1速 1.82/2速 1.00/後退 1.82
最終減速比 4.375
燃料タンク容量 50L
ステアリング形式 ウオーム・セクターローラー
サスペンション前/後 ウイッシュボーン・コイルバネ独立懸架/トレーリングリンク・コイルバネ
ブレーキ前/後 ツー・リーディング/デュオ・サーボ
タイヤ前後とも 7.00-13 4P
発売当時価格 111万円


初出:ノスタルジックヒーロー 2014年8月号 Vol.164(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)


1963年式 トヨペット クラウン デラックス・トヨグライド付 (全3記事)

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photo : ISAO YATSUI/谷井 功

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