100Lの大容量ガソリンタンクを搭載! そしてグラム単位で軽量化。レース専用車として誕生した悲運の「R」|1972年式 日産 フェアレディ Z432-R Vol.1

ボンネットは軽量素材のFRPに変更されている。ボンネットの反射を抑えるためにブラックに限りなく近いガングレーが純正だ。

       
【1972年式 日産 フェアレディZ 432-R Vol.1】

 スポーツカーの多くは、モータースポーツと密接な関係がある。レースやラリーに出場し、好成績をあげてイメージアップを図るのは、スポーツカー戦略の常套手段だ。初代のフェアレディZ、S30にもレースのために開発され、少量生産されたホモロゲーションモデルが存在した。今もファンが多いフェアレディZ432‐Rである。

 エクステリアはZ432に準じているが、軽量化を図るためにボンネットをFRP素材に変え、フェンダーとリアのハッチゲートなどのボディパネルも板厚の薄いスチールを採用し、サイドのウインドーとリアウインドーはアクリル製となっている。また、遮音材や防錆のためのアンダーコートを省き、リアクオーターのガスフィラーキャップもカギのないタイプとするなど、グラム単位で軽量化に励んでいる。ちなみに車両重量はZ432の1040kgに対し、Rは960kgで、80kgも軽い。

 インテリアでは、レースに必要のないラジオとヒーター、時計を取り去り、サンバイザーも運転席だけ、グローブボックスのフタも不要と割り切っている。シートはFRPで一体成形した専用のバケットタイプを採用し、フルハーネスの4点式シートベルトを簡単に取り付けられるように配慮している。また、シートベルトをきつく締めるとインパネに手が届かないため、イグニッションキーの始動スイッチをシフトレバーの後ろに移し、操作性を高めた。

 シート後方のスペアタイヤは、フロア直付けになる。この下のスペースに置かれるのは100Lの大容量ガソリンタンクだ。そのためインパネ中央の燃料計は表示が変えられ、「100L」の文字が小さく加えられている。


満タンを示す「F」の下に「100L」と小さく書かれている燃料計など【写真7枚】



Vol.2、Vol.3に続く

1972年式 日産 フェアレディZ 432-R(PS30-SB)
SPECIFICATIONS 主要諸元
全長 4115mm
全幅 1630mm
全高 1290mm
ホイールベース 2305mm
トレッド前/後 1355/1345mm
最低地上高 165mm
室内長 835mm
室内幅 1390mm
室内高 1075mm
車両重量 960kg
乗車定員 2名
0→400m加速 15.8秒以下
最高速度 210km/h以上
登坂能力tanθ 0.462
最小回転半径 4.8m
エンジン型式 S20型
エンジン種類 水冷直列6気筒DOHC
総排気量 1989cc
ボア×ストローク 82.0×62.8mm
圧縮比 9.5:1
最高出力 160ps/7000rpm
最大トルク 18.0kg-m/5600rpm
変速比 1速 2.957/2速 1.858/3速 1.311/4速 1.000/5速 0.852/後退 2.922
最終減速比 4.444
燃料タンク容量 100L
ステアリング形式 ラック&ピニオン(16.4:1)
サスペンション 前後とも独立懸架ストラット・コイル
ブレーキ 前/後ディスク/リーディングトレーリング
タイヤ 前後とも6.95-14-4PR
発売当時価格 150万円

初出:ノスタルジックヒーロー 2014年10月号 Vol.165(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1972年式 日産 フェアレディ Z432-R(全3記事)

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text : HIDEAKI KATAOKA/片岡英明 photo : MOTOSUKE FUJII(SALUTE)/藤井元輔(サルーテ)

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