〈3〉トヨタ博物館の計画とともに製作されたレプリカ|3つの世界記録と13の国際記録を樹立した トヨタ2000GTスピードトライアル Vol.3


3つの世界記録と13の国際記録を樹立した トヨタ2000GTスピードトライアル

 残念ながら栄光のスピードトライアルに使用した実車は残されていない。そこでトヨタ博物館の設立計画が持ち上がったのを機に、展示用にレプリカが製作されることとなった。

トヨタ 2000GT スピードトライアル


トヨタ 2000GT スピードトライアル
丸2灯のテールレンズが特徴的なスピードトライアル仕様。燃料の給油口、ハメ殺しのリアサイドウインドーに設けられたオイル給油口など、トライアル車ならではの装備が施されている。前後フェンダーの形状は、市販車やレース車とも異なる。

トヨタ 2000GT スピードトライアル
市販モデルは豪華なウッドパネルが特徴だが、トライアル車は黒一色。助手席側には計測器を設置した大きな黒いBOXが備わっている。ステアリングは市販車と同じウッドステアリング。メーター類は、左から電流、燃圧、デフ油温、水温、エンジン油温、回転、エンジン油圧が並ぶ。回転計はデンソー製だが、他はスミス製。センターコンソールには、ホイヤー製のストップウオッチを2個、デフ、オイル、燃料ポンプのスイッチを配置。

トヨタ2000GT スピードトライアル
ラゲージスペースのフロアには大容量(おそらく130ℓ程度)の燃料タンクが備わる。その奥に、燃料ポンプ2基、デフオイルの注油口、給油時にタンク内の空気をタンクの四隅から逃がすためのブリーザータンクを配置。また、コクピットと燃料タンクがあるラゲッジの間は、アクリル板で仕切られている。

トヨタ2000GT スピードトライアル エンジン 3M
トヨタ2000GT スピードトライアル
トヨタ2000GTスピードトライアル
エンジンは市販モデルと同じ直列6気筒2バルブDOHCの3M型。スピードトライアル車は、ウエーバーキャブ3連装で、ノーマルの150ps/6600rpmから50psアップとなる200ps/7200rpmを目標にチューンナップされた。現在のトライアル仕様車は、ソレックスを3連装。❺タコ足は、純正の鋳物製ではなく、排気効率の高いパイプ製に変更されている。また、ヘッドカバーの前側にはキー付きのオイルフィラーを増設。6番シリンダーのオイルフィラーが標準。

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スピードトライアル仕様車は、センター2本出しのメガホンマフラーを忠実に再現。マフラーの奥には、デフ用のオイルクーラーも見える。

トヨタ2000GTスピードトライアル

COOPERATION : TOYOTA AUTOMOBILE MUSEUM/トヨタ博物館


掲載:ノスタルジックヒーロー 2012年6月号 Vol.151(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

text:Hideaki Kataoka/片岡英明 photo:Isao Yatsui/谷井 功

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