初代はバーハンドルで1人乗り? その後ドアが付いて、丸いステアリングホイールに。人々の生活を支えた功労者|読者が選ぶ国産旧車人気ランキング2014【オート三輪部門 1位】1964年式 ダイハツ ミゼット Vol.1

丸型のステアリングがついたMPシリーズ。

       
【1964年式 ダイハツ ミゼット Vol.1】

読者が選ぶ国産旧車人気ランキング 2014 オート三輪部門 1位 ミゼットMP

 戦後の復興が続く日本を支えたのはオート三輪だ。1940年代後半、乗用車の個人所有は一部の裕福層のもので、庶民にとって自動車は手の届かない存在。自動車は公共の乗り物で、普段の移動は自転車やオートバイだった。そのような時代に、荷台を持つオート三輪は復興のための物資や生活用品などの輸送に重宝され、日本中で活躍。日本における自動車の大衆化は、商用車として活躍したオート三輪から始まったのだった。

 50年代に入ると朝鮮戦争の特需により輸送が活性化し、一段とオート三輪の需要は高まる。それに伴いオート三輪は大型化し、社会や産業を支える存在へと変わっていった。その一方で、50年代前半にはホープ自動車のホープスターをはじめとする、軽自動車規格の軽三輪も数多く登場。だが、国民の経済レベルが追いついていなかったことや、耐久性および性能、生産能力に難があり、浸透するには及ばなかった。

「もはや戦後ではない」という言葉が経済白書に記載され、復興を遂げた1956年、日本は高度経済成長の兆しを見せ始め、国民の生活は豊かになった。そんな好景気の1957年にミゼットは誕生した。DKAと呼ばれる初代は1人乗りでドアがなく、バーハンドルに249ccのキック式スターターエンジンを搭載した。このモデルにセルモーターを付けたタイプがDK2と呼ばれ、さらにサイドドアを付けたDKAなどラインナップを拡充させていく。

MP3の後期型から1枚のアクリルとなっているリアウインドーなど【写真8枚】

Vol.2に続く



1964年式 ダイハツ ミゼット(MP5)主要諸元
●販売期間 1959年10月~1972年2月

●全長 2970mm
●全幅 1295mm
●全高 1455mm
●ホイールベース 1905mm
●トレッド後 1120mm
●最低地上高 140mm
●車両重量 415kg
●最大積載量 350kg
●乗車定員 2名
●最高速度 65km/h
●登坂能力 11°40
●最小回転半径 2.7m
●エンジン型式 ZD型
●エンジン種類 強制空冷2サイクル単気筒
●総排気量 305cc
●ボア×ストローク 72.0×75.0mm
●圧縮比 6.2:1
●最高出力 12ps/4500rpm
●最大トルク 2.4kg-m/2500rpm
●変速比 1速3.077/2速1.740/3速1.000/後退4.475
●最終減速比 6.571
●燃料タンク容量 15L
●ステアリング形式 ラック&ピニオン
●サスペンション前/後 テレスコピックオレオ/リーフリジッド
●ブレーキ後 内部拡張油圧式
●タイヤ前/後 5.00-9 4PR/5.00-9 6PR
●発売当時価格 23万円

初出:ノスタルジックヒーロー 2014年4月号 Vol.162(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1964年式 ダイハツ ミゼット(全2記事)

2014 読者が選ぶ国産旧車人気ランキング

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text : Rino Creative/リノクリエイティブ photo : MOTOSUKE FUJII(SALUTE)/藤井元輔(サルーテ)

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