ハコスカは、まるで国産旧車界の横綱! この強さと人気は、いつまで続くのか?|総評|2014 読者が選ぶ国産旧車人気ランキング

とにかくハコスカの人気が衰えない。

       

【2014読者が選ぶ国産旧車人気ランキング 総評】 

 とにかくハコスカの人気が衰えない。本誌読者の皆さんから直接感想が届く「プレゼント応募&アンケート用紙」は、本誌にとって、とても大切なデータ。でも、上位に並んだクルマたちのランキングは、2年前と大きな変化はなかった。

 予想した通り、今回も1960年代に発売されたスポーツモデルが上位に名を連ねている。読者からもっとも支持が多く、トップになったのは今回も「ハコスカ」のニックネームで愛されているC10スカイラインだ。国産旧車界の横綱と言える存在であることは、誰が見ても明らかである。

 ハコスカはデザインが個性的で、どのクルマにも似ていない。オーラさえも感じられる秀逸なデザインで、ダイナミックな美しさが漂っている。これが若い人には新鮮な感覚と映るのだろう。また、セダン派とハードトップ派が存在し、これにGT‐R派が加わるから得票は自然と多くなる。

 GT‐Rに代表される精緻なメカニズムに惚れ込む人も少なくない。ハコスカの凄いところは、老若男女を問わず幅広い年齢層の人たちに愛されているだけでなく、嫌う人がきわめて少ないことだ。現役時代を知っている人だけでなく、若い読者からも熱い支持を受け、トップに君臨している。

 ちなみに6位になったのは、ハコスカの後継となるC110スカイライン(ケンとメリー)だ。13位には5代目のC210スカイライン(ジャパン)が、そして23位にも初代GTのS54スカイラインと、4台がトップ25に名を連ねた。日本人にとって、スカイラインは忘れることのできない名車中の名車と言えるだろう。

 2位に輝いたのは、美しさと優雅さでは並ぶものがないトヨタ2000GTだ。誰もが憧れる本格派のスポーツカーで、スタイリングが素晴らしいだけでなくメカニズムの洗練度も高い。日本初の直列6気筒DOHCエンジンを積み、サスペンションも4輪にダブルウイッシュボーンを採用した。スペックにおいても説得力がある。

 同じカテゴリーのS30フェアレディZは3位だ。女性的なトヨタ2000GTに対し、S30フェアレディZは男性的な性格のスポーツカーである。走りもデザインもダイナミックだから好む人が多いのだろう。

 4位と5位に選ばれたのは、日本を代表するライトウエイトスポーツだ。レーシングエンジンのようにパワフルで、精緻なメカニズムを誇るホンダS600とS800を抑え、トヨタスポーツ800が4位の座を手にした。独創的な空冷水平対向エンジンとともに、キュートなクーペデザインに惚れ込む人が多いようだ。ホンダ勢と比べると女性からの支持も多かった。

 1位から5位までは、レースに出場し、活躍したクルマばかりである。6位に初めてモータースポーツでの実績の少ないクルマが食い込んできた。ちょうど排ガス規制で煮え湯を飲まされ、性能的には今一歩の実力だったが、当時、売れっ子だったことを知っている読者はC110を高く評価している。

 7位は世界で初めて2ローターのロータリーエンジンを実用化したマツダの意欲作、コスモスポーツだ。メカニズムだけでなく、エレガントなデザインにも読者は目を向け、スカイラインに迫る得票を獲得した。ロータリー勢のなかでも、サバンナRX‐7とRX‐3を抑え、上位に食い込んだ。

 サファリラリーやレースで活躍した510ブルーバードも安定した人気を誇っている。スカイラインと同じように平凡なセダンだし、メカニズムもとりたてて話題になるものは少ない。だが、読者から高く評価されているのは凄いと思う。実際、バランス感覚は優れており、扱いやすかった、意のままに操れたから運転するのが楽しい。
 9位は、トヨタの初代セリカとセリカのリフトバックだ。言うまでもなく、スペシャルティーカーの先駆けとなったクルマで、DOHCエンジンを積む2つのGTを中心に安定した人気を誇っている。メカニズム以上に決め手となったのは美しいデザイン。これを選んだ理由にあげる人が多い。

 10位にはTE27レビン/トレノを抑えて、いすゞのベレットが入っている。GTを中心にデザインが個性的だ。それだけでなく、走りの個性も際立っている。いすゞには熱狂的なファンが多いのだろう。117クーペも12位となった。360ccの軽自動車も人気者だ。驚いたことに、もっとも上位だったのは、三輪車のミゼットだった。

残念ながらトップ10から陥落、11位となってしまったTE27レビン&トレノなど【写真5枚】

ヨタハチ、ホンダSがランクアップ、特集記事の内容も影響ありそう!? 

 今回は、人気上位10台+部門別5台のクルマを取材、掲載してみたが、いかがでしたか?  ここでは、2年前の本誌Vol.150からのランキングの変化を見ていく。
 上位3台は不動のフォーメーションをキープ。トップは国産旧車界の横綱・白鵬、C10スカイライン(ハコスカ)だ。人気、実力ともに首位にふさわしいハコスカの牙城は、当分揺るぎそうにない。

 過去のデータと比較してみよう。1995年1:ハコスカ、2:S30Z、3:2000GT、4:510ブルーバード。2000年1:ハコスカ、2:S30Z、3:2000GT、4:ホンダS。2005年1:ハコスカ、2:S30Z、3:2000GT、4: ケンメリ・スカイライン。そして2012年が1:ハコスカ、2:2000GT、3:S30Z、4:ケンメリ・スカイラインとなる。

 4位以下は、年ごとに順位の変動が多少あり、これは本誌の特集記事の内容も影響を与えているようだ。今回のランキングの場合、Vol.157でパブリカスポーツを巻頭に掲載し、ホンダスポーツ360の記事をVol.160に載せたことで、4位トヨタスポーツ800(ヨタハチ)、5位ホンダS600/S800が、それぞれ順位アップを果たしたと想像される。また、2012年に8位だったTE27レビン&トレノがトップ10から落ち、替わってA20系セリカ&セリカLBが9位となった。この2車種、順位はともあれ、トヨタの人気車であることに変わりはない。

 さて、次回は数年後?  ということで、皆さまのアンケートハガキをお待ちしています。

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初出:ノスタルジックヒーロー 2014年4月号 Vol.162(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

残念ながらトップ10から陥落、11位となってしまったTE27レビン&トレノなど【写真5枚】

2014 読者が選ぶ国産旧車人気ランキング

text : HIDEAKI KATAOKA/片岡英明、 NOSTALGIC HERO/編集部

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