観音クラウンにアメリカンV8エンジンをスワップ|1960年式 トヨペット クラウン セダン Vol.2|エンジンスワップでよみがえったクラシックビークルたち

       

観音クラウンに搭載するエンジンは、ホットロッドの象徴であるV8エンジンを搭載


 排気量5.7LのGM製ZZ3クレートモーターには、8連スロットルのインジェクションも追加された。

 ミッションも巨大なATを積むので、エンジンルームを中心にボディはレストアも兼ねて完全に作り直された。フレームはオリジナルがベースだが、足回りはフロントがマスタングⅡ、リアはフォード9インチとホットロッドの定番部品を移植。

 カスタムロッダーらしい低い車高を実現するために、フレームにノッチ加工も施した。インテリアもストックをベースにほぼ新造され、クラシックとモダンが共存する高級感のある仕立てで完成した。


もともと積まれていた排気量1.5LのR型エンジンは、あまりに非力でフリーウェイ時代が到来していたアメリカ市場にマッチせず、初代クラウンの輸出は成果が少なく終わった。形はアメリカ車的だが、中身は日本車以上になれなかった初代クラウンに、こうしてアメリカンV8が積まれているのは感慨深い。エンジンはGM製のZZ3で、排気量は350キュービックインチ(約5.7L)。ムーンアイズ製レーシングカムを組み込んだライトチューン仕様だ。


余計な配線を隠し、エンジンベイそのものをクリーンに見せる手法はホットロッドが発祥だけに、この観音V8もそこは徹底している。バルクヘッドを作り直して搭載位置を大きくセットバックし、マスターバックも見えない場所へと移設。エンジン造形の見せ方の上手さはさすがと言うほかない。



吸気は独立スロットルへとモディファイ。8連スロットルが並んだ様子は、1つの造形物としても美しい。もちろんレスポンスアップにも貢献している


エンジンルームを作り直しているとはいえ、その物理的スペースはけして広くない。アルミ製のエキマニは新造されたインナーフェンダーをかすめながらフレーム脇を沿って後方へとつながっている。


クロスラムインテークも含め、このインジェクションシステムはムーンアイズ製となる。ムーンアイズはそもそもホットロッドパーツの製作会社であることを忘れてはいけない。

1960年式 トヨペット クラウン セダン Specifications
●エンジン:GM製ZZ3 350ci V8、アルミヘッド、ムーンアイズ製レーシングカム、モーテックM4制御
●吸気系:ムーンアイズ製クロスラムインテーク & 独立スロットルインジェクションシステム
●排気系:ADF製エキマニ、フローマスター製マフラー
●駆動系:TH350 ATミッション、フォード製9インチデフ
●足回り:F:マスタングIIフロントエンド、TCIエンジニアリング製チューブラーAアーム & ドロップスピンドル、スタビライザー、KYBワンオフサスペンション R:MACSスプリング、Rancho製ショック
●ブレーキ:F:カマロ用ディスク R:フォード用ドラム
●ホイール:ハリブランド15インチ
●タイヤ:F:ナンカンCX668(145R15) R:デルタGT(235/60R15)
●インテリア:ムーンアイズ製6連ゲージ、ヴィンテージエア製エアコン、Ididit製ステアリングコラム、シート & ドアパネル張り替え

掲載:ノスタルジックスピード 2014年11月 Vol.005 (記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

TEXT:TAKAYOSHI SUZUKI/鈴木貴義  PHOTO:AKIO HIRANO/平野 陽

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