【完成編04】イベント初挑戦にして総合優勝! 片岡スタイルを貫いた無心の勝利|遂に完成へ!|ノブちゃんS30Z製作記 Vol.23

カスタムの方向性を決定づけた元祖TC24ユニット。最新の技術とパーツでアップデートが図られた最強仕様だ。すさまじいレスポンスはまさに異次元!

       
【ノブちゃんS30Z製作記 Vol.23 <完成編04>完結】

 片岡さんのS30Zが最終的に完成したのは、エンジンを搭載し終えた半年後。この頃にはエンジンや足まわりのセッティングもほぼ決まり、高速道路も不安なく走れるようになっている。

 また、本人的にサイズが甘く、買い直すことにしたホイール(RSワタナベのマグネシウムホイール)のマッチングも、今度こそ狙い通りとなった。その結果、240ZGのデザインを復元したオーバーフェンダーに、まさに隙なしの完璧な状態で収まった。

 遠出が可能になったことから、この頃から念願だったイベントにも参加。そして、片岡さんのS30Zはいきなりデビューウインを成し遂げる。授与された賞はカテゴリー別に贈られる賞ではなく、総合優勝。当日集まったあらゆるカスタムカーの頂点、最も優秀なクルマと評価されたのだ。この快挙に一番驚いたのは、当の片岡さん本人。

「総合優勝として、自分の名前が場内アナウンスされた時は、本当に『まさか』という感じでした。かなりのメジャーイベント(オフセットキングス2016)だったし、Zより目立つクルマが他にいっぱいいましたから。ただ、多くの人が足を止めて、じっくり見てくれたのは事実で、腹下をのぞいて驚く人も大勢いました」。

 大胆な80mmのフロア底上げ仕様。落とすだけなら、車高はまだまだ低くできる。しかし片岡さんはそうはしない。あくまでも自分がベストとした「走れる車高」でイベントに臨んでいる。これからも、ずっとだ。

「誰かのためのカスタムじゃない。自分が納得できることが一番大事。とくに旧車は。このS30Zを手がけて、そう強く実感しました」。


現車合わせで製作されたタコ足は長瀬発動機製。見事な曲げの技術。φ50mmの完全等長設計で、長さは830mmで揃えられ、集合部分は6-1タイプだ。早くもうっすらと焼け色が付いている。


リアのバネレートは10kg/mmを組み込み、トラクション重視のセッティングとしている。ブレーキはS15シルビアターボ用のキャリパーを使いディスク化されている。


オイルクーラーはセトラブの大容量(17段)タイプを、通気性を考慮してラジエーターの前に設置。元祖TC24にふさわしい余裕のスペック。


バッテリーを縦向きに設置することで、タコ足との間隔を広げている。熱対策と同時に、空間を広くすることでエンジンルーム内をスッキリさせる狙いもある。実父、功一さんの考案だ。


燃圧を安定させるため、運転席側のサービスリッド内には、オートサービスワタナベ製の燃料レギュレータをアルミで制作したステーで装着


MSDのブラスターは、取り付け場所が制限されない小型の角形タイプを装着。左側のヘッドライトの横あたりに設置している。


エンジン下部を保護するアンダーパネルもオリジナルで製作。マテリアルは軽量なアルミ。通風のためのベント加工にも抜かりなし。


オイルパンはOS技研のTC24専用大容量アルミオイルパン(バッフル付き)が装着されている。オイルの片寄り防止のためのバッフル加工やストレーナーの対策も抜かりなし。

全ての【写真9枚】を見る

ノブちゃんS30Z製作記記事一覧(全23記事 完成編 4記事)


1975年式 日産フェアレディZ(S30)主要諸元
■エクステリア:フルレストア(全はく離)、バイブラントレッド(R35GT-R純正色)全塗装、メインフレーム&フロアパネル底上げ(80mm)、フロント&リアフェンダーアーチ上げ(約30mm)、フルスポット増し、フロントフェンダー内補強パイプ追加、メーンフレーム補強プレート追加、リアバンパー下部スムージング、RSスタート製スチールフロント&リアバンパー/フロント&リアスポイラー/240ZG復刻版オーバーフェンダー(脱着可能)、前期ワンテール仕様、IPF製ヘッドライト、ハイ・ロー切り替えH4LEDライトキット、純正熱線無しタイプリアガラス

■エンジン:トミタクSPL元祖TC24 【ヘッド】OS技研製TC24-B1、修正面研、ポート拡大、カムホルダー製作(当時モノと同等)、310度カム(SQ処理:カムリフト9.4mm/バルブリフト10.8mm)、ロッカーアーム製作(レバー比変更:ロストワックス製法による鋳造+タングステンカーバイト溶射+自作研磨機による精密研磨)、ステムトップ上部にタペットシムを製作しシム調整式に変更、OS技研製バルブ(INφ35mm/EXφ30.5mm)&バルブスプリング(セット荷重22kgf:フルで60kgf)、リン青銅バルブガイド(ポート内カット)、バルブシート(ミラー社製シートカッターで三面同時加工、IN0.8mm/45度、EX1.2mm/45度)、バルブタイミング(IN100度/EX100度)【ブロック】日産L28型(F54)、上面水穴追加加工、オイルライン逆転加工(EXカムシャフト、ロッカーアーム潤滑)、OS技研製φ89mm鍛造ピストン(ラビリンスリング加工:ピストンピン径φ21mm)、カーニングハム製チタンコンロッド(372g)、VG30DETT型用コンロッドメタル、日産LY型用オプションクランク(ストローク79mm)、クランクキャップボルト製作(高強度ボルト)、圧縮比13.6、亀有製ヘッドガスケット加工、OS技研製TC24-B1Z専用大容量アルミオイルパン(バッフル付き)、オイルストレーナー製作、スターロード製ハイパーリダクションセルモーター/ブラックオルタネーター(プーリー製作:取り付け部オフセット)、ダンバープーリー製作、エンジンブラケット加工&補強、OS技研製アルミオイルフィラーキャップ、ワンオフオイルキャッチタンク

■吸排気系:ウエーバー55DCOS/P(当時のイタリー製:アイドリング調整部分を加工)、トミタクファンネル(80mm)、インシュレーター加工(インマニ内径φ51mmに合わせてテーパー加工)、長瀬発動機製φ50mm等長スレンレス6-1タコ足/φ80mmステンレスシングルマフラー(デフ上レイアウト)

■点火系:マロリー製デスビ、MSD製イグナイター(6AL)&ブラスターSSコイル、NGK製プラグ(D7EVX)、永井電子特注プラグコード

■冷却系:スターロード製大容量3層アルミラジエーター、スパル製電動ファン、セトラブ製オイルクーラー(横置き)

■燃料系:ボッシュ製インジェクション用燃料ポンプ(E30M3用)、ASW製燃料レギュレーター、燃料吹き出し防止用タンク追加、燃料フィルター、燃料配管引き直し、ワンオフデリバリーパイプ

■駆動系:OS技研製特注トミタクオフセットフルカーボンツインプレートクラッチ(フライホイール重量2.6㎏)、日産オプション3ミッション、FJ20型用ベルハウジング、亀有製強化ピボット、バックランプスイッチ位置変更、OS技研製スーパーロックLSD(R180特注)

■サスペンション:スターロード製車高調キット(ストローク、減衰力、バネレートを特注(F14㎏/mm/R10㎏/mm)、ナギサオート製ピロロワアーム(フロント&リア)/タイロッド&タイロッドエンド、フロントネガキャンアダプター(23mm)、OS技研製オフセットプロアッパーマウント(リアのみ)

■ブレーキ:(F)ブレンボ4ポットキャリパー+φ300mm2ピースローター (R)S15ターボ用キャリパー&ディスク、スターロード製大容量マスターバッグ、ブレーキ配管引き直し、サイドブレーキ油圧化

■インテリア:リスタード製カーボンダッシュボード&ドア内張り、デフィアドバンスRS(11000rpmタコメーター、水温、油温、油圧)、オートメーター製燃圧計、momo製プロトタイプ、クルーズ製ステアリングボルト、チタンシフトノブ、クスコ製8点式ロールケージ(クロモリ製)、ブリッド製ゾディア(左右)、タカタ製ハーネス、消火器、アルミ製フロアパネル製作

■タイヤ:ナンカンNS2(F)195/50R15 (R)205/50R15

■ホイール:RSワタナベ (マグネシウム:ブラウンニッシュ)(F)15×10.5J -32 (R)15×11.0 -38、サンダーボルトジャパンチタンホイールナット


掲載:Nostalgic SPEED vol.012 2017年 03月号(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Ryotarow Shimizu/清水良太郎

RECOMMENDED

RELATED

RANKING