インテリア写真も見たいっ! ご存知でした? デジパネ右ハン右シフト|幻の和製スーパーカー 童夢 零 Vol.2

ウエッジシェイプのダイナミックなフォルムで、ドア後方のサイドパネルにはエンジン冷却用のインテークを設置した。右側は穴が1つ、左側は穴が上下2つだ。

童夢を率いる林みのるが、スーパーカーの開発プロジェクトを立ち上げたのは、78年2月のジュネーブショーから2年半ほど前のことである。


 ボディデザインを林とともに手掛けたのは、新進気鋭のレーシングカーデザイナー、由良拓也だ。



 ウエッジシェイプのダイナミックな造形を特徴とし、ヘッドライトはスーパーカーの定番ともいえるポップアップ式のリトラクタブルタイプだった。

ドアは前方に跳ね上がるガルウイング式ドアである。

レーシングカーの手法にのっとってデザインされ、全高は980mmと、低く抑えられた。


童夢 零のフロント
童夢 零のヘッドランプはスーパーカーの定番とも言える格納式のリトラクタブルで、ドアは前方に大きく跳ね上がるガルウイングドアとしている。


童夢 零のリアビュー
童夢 零のリアビュー。ガラスエリアの大きいキャノピールックで、リアエンドは大胆にカットした。リアカウルは一体式のため重く、二人がかりで持ち上げる。


 高い強度を持つスチールモノコックを手掛けたのはマキF1に携わった三村建治だ。


 サスペンションの設計も、マキF1にかかわった小野昌朗に委ねられている。サスペンションは、4輪とも設計自由度の高いダブルウイッシュボーン/コイルとした。


 林みのるは、童夢零を販売する気でいたため、ショーの後、数々の走行実験を行っている。

市販のために製作したのが発展進化型の童夢‐零P‐2だ。

ひと回りボディを大きくし、北米の安全基準を満たすためバンパーを大きくし、ライトの高さも変えた。

2台が製作され、アメリカのモーターショーにも出品したが、レース活動が忙しくなり、市販化を断念している。



 美しさにこだわるイタリア製スーパーカーよりも斬新なデザインを採用し、海外のクルマ好きを驚かせた童夢 零。ボディ素材にはFRPが採用された。

童夢零のコックピット

 ジュネーブショーに展示されたのは右ハンドル仕様だ。台形のメータークラスターのなかには最新のデジタルメーターを収めた。右側には各種装備のスイッチをレイアウト。レザーステアリングもメータークラスターを意識してかV字型の2本スポークデザインを取り付けている。5速ミッションのシフトは右側のサイドシルに設定されている。そのため、乗り降りにかなり苦労する。

童夢 零のコンソール
ドライバーズシートの後方、サイドシルに近いところにエアコンの操作スイッチを配している。

童夢 零のトランスミッション
ディフューザー形状のリア下回りを見ると、ZF製のトランスミッションが顔をのぞかせる。


スペック
78年式 童夢 零(DOME Zero)
全長×全幅×全高:3980×1770×980mm
ホイールベース:2400mm
トレッド前/後:1400/1450mm
最低地上高:130mm
車両重量:920kg
シャシー:スチールモノコック
ボディ:FRPセミモノコック
エンジン型式:L28型
エンジン種類:水冷直列6気筒SOHC
総排気量:2753cc(日産カタログ値)
最高出力:145ps
ミッション:ZF-5DS-25/2
ステアリング形式:ラック&ピニオン
サスペンション前後:ダブルウイッシュボーン・コイル
ブレーキ前:ガーリングAR5ベンチレーテッドディスク
ブレーキ後:ガーリングARGディスク
タイヤ前:185-70VR13
タイヤ後:225-55VR14


掲載:ノスタルジックヒーロー 2011年6月号Vol.145(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

photo:Isao Yatsui/谷井功 text:Hideaki Kataoka/片岡英明 cooperated:DOME

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