もう28年近くも姿カタチを変えないまま今もなお最前線に居続ける名作がBBSのLMである。
むしろ時間が経てば経つほどに、醸成されるかのごとくその存在感を増している。
【画像4枚】BMW 320i Mスポーツに装着された2ピースホイール BBS LM昔ながらの無骨な表情に2ピース構造など、LMは伝統工芸品的な魅力を持つ。クロススポークを己のアイデンティティとするBBSの中にあっても、そのモノづくり精神の拠りどころとなるような存在だ。車種別専用をはじめ針の穴をつつくような造形を追い求めた新製品に比べたら、もはや懐古主義を味わうような存在かもしれない。
しかし、単なる懐古主義ではないことを知ったのは、BMWとはなんら関係のない、とある国産チューナーの言葉だった。その男は1000psを超えるようなモンスターマシンを構築し、足しげくサーキットでタイムアタックをしている。その最中でLMの剛性感と信頼性、それは今もなお健在だと体感し、他のホイールメーカーはおろかBBSのラインナップを見渡してもLMにしかないものであると断じた。
2ピース構造であることも手伝い、軽量性能には限界がある。かといって車種ごとのマッチングを突き詰めたら、世の中に数多とあるマルチピース勢に最適解を見出す人もいるだろう。
それでも、やっぱり誰もがLMに帰着する。それだけの性能を持っていて、なおかつ普遍的な美しさが宿るからだと思う。ことユーザー側にとっては、とりあえずLMを選んでおけば間違いないという絶大な信頼感がある。
それはBMWで言えば3シリーズみたいな存在なのかもしれない。BMWだって今や多種多様のモデルラインナップがあり、攻めたMモデルも珍しくない。しかし、BMWといえばやっぱり程よいサイズの3ボックスセダンを持って“駆けぬける歓び”を楽しみたいと考える人は少なくない。
>>10本のクロススポークで構成されるディスク面と、それをリムと結ぶピアスボルトはいかにもLMらしい造形だ。姿カタチは不変でも様々なコーディネートが提案されてきた。