本気度MAXのハコスカGT-Rのサニトラ版レプリカ!

       
225の極太タイヤを引っ張りで履く10JワイドのRSワタナベ14インチと、セミワークス仕様のブリッと張り出したオバフェンが硬派な、アグレッシブムード満点のサニトラ。が、サニトラなのはリアから見た形相で、フロントからの姿はあれま、まんまハコスカじゃ〜ん……!

日本の名車の殿堂C10スカイラインと、昭和の働き者B120サニートラックの2つの表情を持つこの謎トラの正体はハコスカとサニトラを大胆にも合体……てのは真っ赤なウソで、サニトラボディに合わせたダウンサイジング化により、超リアルディテール版ハコスカフェイスをFRP&ドライカーボンで再現した、顔面移植キットのデモ車だ。

旧車マニアもハコスカを切り刻んだのかと勘違いを抱きそうなほどに似過ぎな、ハコスカ顔面サニトラキットの生みの親はコンプリートバイクのカスタムメイドを本業とする「09レーシング」の小倉氏。バイクの積載車を兼ねたサニトラ2台とレストア中のハコスカの旧車趣味の傍ら、「ハコスカにバイクが積めたら……」という無理難題な夢を水面下で抱いていたのが実のトコロ。そのすえFRPでハコスカ顔の複製という方法論にたどりつき、愛車から外した部品を1コ1コ型取りし、サニトラ用にツジツマを合わせた複製を図ることでレプリカ級の完成度を得て、さらに堂々量産化にこぎつけたのだ。

顔面のみならずオーバーフェンダーもハコスカ化けのスタイリングを形成する重要なファクターで、GT-R似のサイドビューを忠実再現すべく、私物のお宝級セミワークスのオバフェンを犠牲にした涙モノの裏話も……。そんな苦心のすえサニトラとハコスカの魅力を一度に味わえる至極のトランポとして、多くの旧車好きのハートをワシ掴みにするのは今後間違いナシですっ!


写真14点>>ハコスカGT-Rサニトラの全貌!


>>本来2輪のカスタム屋である「09RACING」の屋号で4輪をプロデュースしたのは、“カスタムバイクと一体の個性を担う崇高なトランポ”としての提唱を狙った部分も実は大きい。ベースがヤマハTRZ250Fとは信じ難いほどモディファイされた荷台のカフェレーサーバイクのクオリティが、小倉ビルダーのバイク分野での驚愕のカスタムスキルを裏打ちしている。業務で4輪を手がけるのは今回が初だ!





>>F:8.5J/R:10JのRSワタナベ8スポークに対応させたオバフェンは、実はフロントはFRPフェンダー一体式。金型に用いたのはハコスカ用セミワークスレプリカの銘品で名高い今はなきガレージ石坂製で、本来の15”用からサニトラに合う14”用へのディフォルメを要するため貴重な宝物が型取りの犠牲となったそうな……。



>>ライトベゼルはドライカーボン製で、ハコスカにも使える完全な複製品。ラジエターグリルとフロントエプロンの絶妙なリサイズで全福の狭いサニトラでリアルな顔つきを再現。GB-Rのエンブレムは友人のお手製だが、これも量産予定だ。



>>ノーズの短いサニトラでハコスカ顔を大胆に引き立てるべく、カーボンボンネットは純正形状を避けオリジナルダクトを追加。フェンダーミラーもドライカーボンの自社製で、ハコスカ標準品とまったくの同形状だ。




>>復刻版ダットサンコンペのフルバケを備えた室内も、ハコスカ同様のダッシュボード&コンソールの縮小版リプロパーツとして製作。スイッチ類やメーターは本物(愛車)からの移植で、低い車高で最低地上高を稼ぐべくモノコックがかさ上げされたフロアにも注目!!




>>フロアの縞鋼板やピロボールロッド化したリアゲートのヒンジなど、バイク積載を考慮したヘビーデューティな作りが随所に光るベッド回り。ウインカー部分をカットしたカーボン製ベゼルのテールやバイクの汎用品によるポップアップ式のゲートハンドルも注目だ。




>>レーサー系のカスタムバイクでのデザインがフィードバックされたフューエルリッドとマフラーダクトはドライカーボン謹製。また、遠隔地のサーキット遠征やバイクへの燃料補給でのエマージェンシーとして燃料タンクの容量アップ前提で給油口を2つ設けている。



>>プレスラインやダクト穴までもハコスカに極めて忠実なフロントエプロンの造形が、バンパーレス+チンスポの荒削りなレーシーさに大きく貢献。なお市販キットでは構成部品として純正形状のFRPバンパーも用意される。


カスタムCAR2013年4月号掲載
BASE CAR:サニートラック・ロング 1990年型
SOURCE09RACING

PHOTO/上田穂高

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