日本が誇る不朽の激低VWタイプ1!

       
スラムド一辺倒に突き進むエアクールド(空冷)VWシーンは、2013年もガンガンに爆進中!レアなベースにスラムド&ナロードをブチかまし、ハードトゥファインドなホイールをブチ込むのがシーンの中枢を成すのはご承知のとおりだけど、そんなシーンもある日突然降って湧いたワケじゃなく、必ず先駆者の存在がある。

なんと2013年から遡ること10年前、ハードにモディファイされたカスタムシャーシ製作から始まった一台のVW。レアな右ハンドルの“オーバルウィンドー”をベースに、カスタムストリートロッドとハイテックな雰囲気を与えられ、2002年にデビューした“ビッグトータス”は、ヴィンテージ全盛だった当時のシーンにフルカスタムとスラムドのカッコよさをアピール。その名車が昨今のスラムド全盛期に、あえてのリメイクを果たしてきたのだ!

ビルダーは九州・長崎の老舗「シャーリーママ」。VWスラムドシーンの盛り上がりを静かに見守っていた代表の入江氏は、常にカスタムありきの人。“珍しいリムを入れてスラムドするのがゴールではなく、トータルに手を入れることで産み出すカスタムカー”にこだわる。前世ではストリートロッド的にまとめたこのクルマを、大きく手を加えることなくガラリとリメイクした手腕をご覧頂こう。

カスタムならばボディやインテリアにも見せ場を、と考える入江氏は、今回の“K”ustomテイスト注入にあたり、以前はグレーのバケットシート&ビレットアクセサリーでハイテックな雰囲気だったインテリアをタック&ロール、それもラメ入りのゴールドで一新。ステアリングもトラッド派ご用達の貴重なレカラを入手してご覧のようなテイストに。それに見合うエクステリアは、スキャロップラインをアレンジしたカスタムグラフィックスで大胆イメチェン。そこに収まるトドメのホイールが、これまた渋いワイド加工&外周をアイボリーにペイントしたVW純正のスチールリム!「あらゆるレア物ホイールが出揃った今、純正スチールのカスタムもかえって新鮮でしょ♪」という読みも功を奏して、「低さ、深さ」と、バランスよく整ったCOOLなルックスを獲得。現代のVWシーンに一石、いや正確には二石目を投じくれる、伝説にして現役の名車なのである。

写真9点>>激低シャコタン空冷VWの全貌!


>>ベースは1957年のオーバルだが、ドアノブやモールをスムーズ、フェンダーもボディと一体化されている。2003年のロッダー時とボディのベースカラーは同様だが、大胆なKSUTOMスキャロップをフェードを効かせて追加することで別モノ雰囲気に。




>>このシャーシ写真は2003年当時のモノ。完全ワンオフのサスマウントを組み上げ、シリンダー型エアサス(当時は4輪共にキャノーバー。今回はリアのみAIR LIFT製に交換)の投入、前後ナロード、バギー用ラダーバーによる4リンク化、ジャマー製ビレットブレーキと、現代のスラムドVWに勝るとも劣ら……いや、メカニカル面では今も圧倒する、カスタムシャーシがこのVWの土台なのだ。





>>ハイテックロッダー風情だった2003年当時のモノから、2013年はオールドスクールなKUSTOM調に。いやらしさ一歩前のゴールドレザーはラメ入り。横バー一本のステアリングはカスタム好きベテラン勢垂涎のレカラ・マークⅠ。無粋になりがちなエアサススイッチはシボレーのパワーウインドースイッチ内に忍ばせる。リアシート背面カバーを取り去るとワンオフリアサスペンションのメンテ空間に。



>>ビンテージかつマニアックな足元美が流行中だが、シャーリーママは『カスタムホイール』にこだわり、VW TYPE1純正スチールをワイド化(純正前後4JからF:5.5J、R:8,5J。ワイドリム化は千葉の名人「鎌ヶ谷ワイドホイール」へわざわざ発注)! ここにクロームセンターキャップとリムリングをあてがいライトブルーにペイントすることで、クロームへの映り込みも計算した美しいディープスチールへと変貌させた。ワンオフサスの恩恵でこの激低にして極端なネガキャンでないことも、昨今のSTANCE系とも違うところ。



>>この圧倒的スラムド姿勢と深すぎる純正ホイールとの対比の妙がカッコよさの芯源。ホイール以外、この激ロワードが2003年に実現されていたのが驚愕で、当時のVWシーンはエアサス投入さえも稀で、本誌を始めフランスのVW専門誌など世界中から絶賛された過去を持つ「BIG TORTOISE」。当時はノンバンパーだったが、今回は低さ強調のため純正バンパーに戻す。裏止めされたティアドロップテールも当時から。


カスタムCAR2013年3月号掲載
BASE CAR:VW・タイプ1 1957年型
SOURCE:SHIRLEY MAMA

PHOTO/是本信高

RECOMMENDED