本誌が創刊した1978年当時、カスタムカーとして多数を占めていたのはズバリ、バニング。といっても和製バニングではなく、70’sのアメリカで大流行した、本家本元の正統派バニングである。サーフィンの大流行により、カネはないが夢はある若者たちがボードを積んでサーフトリップを重ねた時代。安いバンをアクセサリーやペイントでドレスアップすることが、やがて流行となり、全米中を席巻したのである。
そんな時代に思いを馳せる当時に憧れていた世代、はたまた初めて見るスタイルを新鮮に感じる若い世代の双方に支持されて、実は最近、バニングがアツい。本誌生誕400号記念となった2012年2月号でカバーを飾ったシェビーバンを記憶している人も多いだろう。あのバンをプロデュースした神奈川のUSバニング・プロショップ「
DEEZ CREW」が、そんなアツさを象徴するバンを立て続けに2台仕上げてきたので紹介しよう。
ブラウンを基調に仕上げた’77年ダッジ・バンは、当時なんとダッジ自身が“カスタムするならベースにどうぞ♪”と言わんばかり、マルチカラーのペイント&質素なインテリアの組み合わせで若者向けに用意した「STREET VAN」という激レアグレード。それが運良く手に入ったことで、当時のストリート風ライトカスタムを目指してカスタム。レストア的に各部の光りモノはリクロームしたうえで、グラフィックスやエアブラシでボディをお化粧。ボタン締めレザー・インテリアなど、カスタムバン・ブームの創成期から全盛期にかけての雰囲気を目指したというのがポイントだ。
続くグリーンのシェビーバンは、さらに数年あとになるカーショー目当てのフルカスタムが続々と登場したカスタムバン全盛期のスタイルを狙うもの。マッスルカーから採り入れたようなエアダム&フェンダーフレアー、ヒップアップした車高にファットなホワイトレタータイヤなどで、まんま当時のノリを再現。カスタムが流行から文化となりショップができカーショーが増え、サーフビークルからスタートしたバニングが全米中に飛び火した頃のスタイル、それがまさにこんなノリだったのだ。
そんな時代考証もからめつつ「DEEZ」が放つこの2台。これを見て興味津々な人たちからの評判も上々とのこと。リバイバルから新たなブームになって、また日本でもUSバニングが一大センセーションを巻き起こすかも!?
【
写真15点>>USバニングの細部をチェック!】
![](https://images.nosweb.jp/articles/5000/5278/wysiwyg/33922393fbb64585b97a71c2ed7aa0bd.jpg)
>>1970年代に盛り上がったバニングシーンはサーファー・ビークルのカスタムはその原点。初期の頃はディーラーが販売戦略として打ち出す、それほど派手ではないスタイルが主流だった。ことらのダッジ・ストリートバンは、カスタム色より、サーファーズ・ビークルとしての雰囲気を重んじた1台だ。
![](https://images.nosweb.jp/articles/5000/5278/wysiwyg/07a6d6b2d8498d7a9f268a649394e991.jpg)
>>コチラのシェビーバンは、当初もてはやされたサーファー・ビークルではなく、カスタムムーブメントとして全米に広がり、ブーム自体が全盛期を迎えた時代のイメージで製作。エアブラシこそ施されていないが、美しいペイントを備えた姿はまさに往年の70’sカスタム・バニングを再現している。
![](https://images.nosweb.jp/articles/5000/5278/wysiwyg/318f0a45d0491c604bcd45862e23a2e6.jpg)
![](https://images.nosweb.jp/articles/5000/5278/wysiwyg/68442d40c33d39f0d99ecb1d86be8d1d.jpg)
>>サーフバニングに好まれたインテリアがボタン締めのインテリア。ボタンを留めることによってギャザーが付くのが特徴だ。ちなみに東海岸ではウッドを使う内装が好まれた。またリアシート設置のフレキシブルさも特徴。シートをコの字型にしたり、片側だけにしたりレイアウトは自由自在だ。
![](https://images.nosweb.jp/articles/5000/5278/wysiwyg/195de010b3cfcb88aa51d7ad133ff1a8.jpg)
![](https://images.nosweb.jp/articles/5000/5278/wysiwyg/9bf2336cbaba2d6e68690c4ee6697e0c.jpg)
>>ウッドのオクタゴンステアリングもバニングでは好まれるアイテム。両車とも時代考証との整合性を考え、デッドストック品を装着している。
![](https://images.nosweb.jp/articles/5000/5278/wysiwyg/298ef131ce182a0d032b6dd5f4f9035e.jpg)
![](https://images.nosweb.jp/articles/5000/5278/wysiwyg/22e704ecd8a44645900327507c9040fd.jpg)
>>シルバーリーフやゴールドリーフを使って、文字を描くスタイル。手法そのものとしてはバニングに限られたものではないが、70‘s的雰囲気を出すために多用されるテクニックのひとつといえる。
![](https://images.nosweb.jp/articles/5000/5278/wysiwyg/ddd38cd2026501b72a54c01cf162de66.jpg)
>>型紙を使って塗料を吹き付け、色の濃淡を作り出し、模様を浮き上がらせていく手法。魚の鱗のような模様のため、通称でうろこペイントと呼ばれている。
![](https://images.nosweb.jp/articles/5000/5278/wysiwyg/2278f97fb52cae155bb27d30a1a5706d.jpg)
>>ボディを各ブロックごとに仕切り、その範囲内でアウトライン部から中心部にかけてフェードペイントを施し、アクセントを出すペイント技法が「ブロックペイント」だ。
![](https://images.nosweb.jp/articles/5000/5278/wysiwyg/1b2fe3d072204594300e3629224c23f6.jpg)
![](https://images.nosweb.jp/articles/5000/5278/wysiwyg/aa92f9c3f704fbf4f6bfccf676362907.jpg)
>>バニングならではのカスタムと言えるのが「ポト窓」だ。英語だと”port hall window”、日本語に訳せば”舷窓(げんそう)”。その名の通り船体に付く窓のことで、これを埋め込むのが定番の外装テクニックだ。
![](https://images.nosweb.jp/articles/5000/5278/wysiwyg/84889df1ce1a8a1624f95d8180503748.jpg)
![](https://images.nosweb.jp/articles/5000/5278/wysiwyg/b4eabcf98be79eefdd20d87e6939e979.jpg)
>>サイド出しの「サンダーバードマフラー」や4連タイプの「ズーミーマフラー」装着もこ時代のカスタム・テク。フレアーフェンダーも70’sバニングではお約束だ。ダッジバンが履いているキーストーンのホイールも人気アイテム。シェビーバンはアメリカンレーシングをセットしている。
『
カスタムCAR』
2013年3月号掲載
BASE CAR:ダッジ・バン ストリートバン 1977年型(アイボリー)
シボレー・バン G20ショート 1975年型(グリーン)
SOURCE:
DEEZ CREW