細部にまでこだわり抜いた徹底的なUSDM EGシビックフェリオ

       
日本のUSDMシーンに於けるマニアックな探究心とストイックな追求心の汗と努力の「結晶」というつぼみが花開くのは4月。USDMの聖地“三重県”で開催されるミーティング「USDMJAM」が開催される日こそがその満開日にあたるのだ。春に完成、夏はイベント、秋冬はというとまた翌春に向けての仕込み、製作期間にあてるというサイクルが定着化しているジャンルといっても過言ではない……。だが、ここに4月の開花宣言から大きく遠ざかり時は10月……、翌春を待たずして遅咲きの花が開いたのだった。

ベースとなっているのはPIAA、JACCS、カストロールなどの往年のJTCC時代に人気も博した4枚ドアのEGシビックフェリオ。実は日本やUSホンダシーンを見てみてもクーペやハッチバックが主流でセダンベースは少数派だ。そのEG型フェリオには実はクーペやハッチとはフェイスの意匠が若干異なっているのだ。その他にはモールの位置やマーカーの形状からフェンダー、バンパー、ボンネットがクーペ/ハッチモデルとは異なる意匠が与えられているため、似て非なるモデルなのだ。

そんなベースを’99年に友人の親から格安で購入し、実に13年もの歳月を共にしているのがUSDMシーンのパワースポット「北陸」は富山に住むオーナーだ。購入後インパラブラウンメタリックにペイントし、ご機嫌にクルーズしていたある日、通販で購入したマーカーがネジの締め忘れで飛んでいき破損……。新たに購入するため訪れたのが、彼が現在勤務する富山のショップエースペックエンタープライズなのだ。ストリートコンパクトブーム全盛の当時、お店に通う回を重なっていくたびに魅了されていき、遂には勤めていた将来も約束された某有名企業を辞めエースペックに入社してしまったというエピソードを持つ。

入社後間もなくSOHCキャブ仕様だったエンジンをDOHC「B16A」に換装。しばらくそのままの状態が続くが、昨年ひょんなことをきっかけに4穴のBBS RS15インチを入手する。そのディッシュをベースにロティフォームのカスタムリップをオーダーしたのがきっかけでモディファイは急加速した! 

出身がUS JDMのコアスポット広島だったということもあり、ディープでドープなUSDM連中との親睦が深まり、エンジンベイにまで手を加えることを一気に決意! 2012年のUSDM JAMで彼らと一緒に並べることを目標にプロジェクト開始したのだった。

しかし、アメリカ相手に思うように部品は届かない、作業も進まないなどの理由で、2012年のJAMには間に合わせることは出来ず、苦虫を噛み潰す思いを強いられる結果になってしまった。だが、このことによって愛車と向き合うスタンスに余裕が持つことができたのも事実、プロジェクトはコツコツと前進し、JAMから経つこと半年後……。驚愕のエンジンベイを引っ提げて我々の前にその姿を見せつけたのだった! しかもクーペ・ハッチ顔にコンバート済みというおまけ付きで周囲を圧倒させた。これは形状の異なる各々のフェンダーを巧妙につなぎ合わせ成し得たギミック。

フェリオ乗りとして前代未聞のアイデンティティを手に入れることにも成功したのだ。USDMありきのカスタム+その垣根を越えたアプローチは正に本誌のカバーに相応しいフィニッシュだ!


【画像9点】ショーカーレベルのEGシビックフェリオ!



>>まるでエンジンが浮かんでいるかのようにさえ見えてしまうエンジンベイ。エンジンハーネスは勿論、ブレーキラインやフューエルラインなどの引き直しによって「隠す」ことによってエンジンベイを「魅せる」ことに成功している好例だ。そんな見えないギミックはついにラジエターまでもUSブランド「チェイスベイ」のタックドラジエターを輸入し敢行する。スッキリしたことによって「bisimoto」のエキマニが更に強調されているぞ!



>>ストラットタワー上部にアッパーアームがヒットするほど車高が低い為「逃げ」加工を施し干渉を防ぐことに成功している。USのJDM乗りの間ではポピュラーな方法をとっている。



>>前後9Jに組みかえられた16インチのBBS RSはよく見るとピアスボルトが30本。16インチのRSは本来34本のはず……。これはロティフォームのアップコンバートリップキットによって15→16インチへアップデートされた特注スペック品なのだ。ブラッシュドフィニッシュのアウターリップも相性バツグンだぞ。



HONDAメイクには欠かせないフットワークもクラックスやVISION、Function7などで構成されている。エキゾーストマフラーはA-SPEC得意のワンオフものだ。



>>シートはフロントEK9CTR、リアJDM 4ドアITR用とU.S. JDMフリークにはタマラナイ流用ワザを披露するインテリア。Status RacingのハーネスやCheckerd sportのボスと赤アルカンターラに巻き換えられた無限ハンドルのコンボがクールすぎるぞ。



>>アンテナ位置やテール、ライトなどは当然のようにU.S.パーツにコンバート済み。マーカーがシェイブされたフロントフェンダーはハッチ/クーペフェイスを投入するため2/3ドアと4ドア用のニコイチのワンオフモノだ。



Engine Spec
■Shaved Engine Bays
■Wire Tucks
■Chase Bays Brake Line Relocation Kit
■Rywire Tucked Radiator
■U.S. EarlÅfs Black Hard Anodized Fitting Radiator Hose
■Engine Block Black Wrinkle Paint
■Bishimoto Header
■Custom Intake Manifold
■Skunk2 3inch Throttle Body
■Skunk2 Billet VTEC Solenoids
■Skunk2 VTEC Solenoids Cover
■Skunk2 Composite Fuel Rails
■AEM Fuel Regulators
■Chase Bays Fuel Line Relocation Kit
■Full Race Cam Gears
■A-spec Maffler



『カスタムCAR』2013年2月号掲載】

BASE CAR:シビックフェリオ(EG8)

PHOTO/谷井 功

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