ダブルキャブ平ボディをベースに完成度の高いフォルムを披露する美麗アート車だ。自身で考え抜いたアイデアと、それを具現化した石倉板金&岩井看板店の匠の技が存分に盛り込まれている。
まず注目すべきは、前後に大きく伸ばされたボトムラインだ。前方に大きく張り出したフロントのラッセル戻しバンパーからサイドバンパー、バスフェンダー、リアバンパーが構成するラインはクルマに安定感を与えている。加えてボディ幅より広げたバスフェンダーとサイドバンパーをツライチにすることでワイド感を強調し、このクルマ最大のアート・ポイントへと昇華させている。また、前後ドアのアンダー部に、荒波のペイントを描いた鏡面ステンレスを配して華やかさの演出にも抜かりない。
そして荷台部分は、鮮やかな色彩のペイントで車体サイズ以上の存在感を獲得している点も見逃せない。大漁旗をモチーフにしたオール筆書きの秀作画は岩井看板店渾身の作品で、メタリックなボトムラインとのマッチングもよく、クルマ全体のアート指数をグンと引き上げている。
キャブ周りでは、トップパートに平型バイザーとコの字型ミラーステーをコンビネーション。菱形棒チップでディテールアップにも抜かりはない。また、バイザー上にはロングホーンが2発並び、その後方に煙突マフラーがそびえ立つという迫力をかもし出す演出もさすがだ。現在、このクルマはメンバーに引き継がれ、オーナーは箱車ベースのアート車を製作中とのこと。卓抜の発想力と豊富な経験を存分に発揮した四代目楓丸の登場が今から待ち遠しい。
【写真6点】クラスオーバーの迫力。カミオン2010年3月号トップアートをもとに再構成