54Aとは違うメーカーチューン! 54B用の純正ピストンに残る当時の加工技術の痕|プリンスがS54B用に開発した、ハイコンプ仕様のG7型エンジン Vol.3

54Bのオイルポンプはギア式を採用。オイルポンプ自体もオイルにつかるような低い位置に設置。

       
2代目となるグロリアスーパー6に搭載されたG7型6気筒SOHCエンジンは、スカイ
ラインにも搭載された。特にS54BのG7型は、メーカーチューンが施された名機だ。

【プリンスがS54B用に開発した、ハイコンプ仕様のG7型エンジン Vol.3】

【2】から続く

 箱の中からゴソゴソと54B用の純正ピストンを取り出してきた。
「ピストントップが盛り上がっているのが、54B用のハイコンプピストンです。54Aやグロリア用は、ピストントップが盛り上がっていません。それと、当時の加工技術のせいか、真円のピストンなんです。今のピストンは熱膨張を考慮して、わずかに楕円形状になっているんですが、当時は加工できなかったんでしょう。そのため、ピストンスカート部分に熱膨張を逃がすためのスリットが入ってるんです」とピストンを見せてくれる館長。GT‐Bに搭載されたハイコンプ仕様のG7型エンジンは、シングルキャブをウエーバー3連キャブに付け替えただけでなく、エンジン内部にも手を加えたメーカーチューンが施されていたわけだ。

 館長がG7型エンジンをOHした際、特に難関だった部分があるという。
「この時代には、まだクランクの周速に耐えるオイルシールがなかったようで、クランク後端には、綿のヒモを固めたような材質の半割シールが使われていました。これがクランクと微妙に接触してオイルが漏れないようにしています。当然、経年劣化でこのシールが摩耗しており、オイル漏れが起きていました。もちろん純正品は手に入らないので、考えた末にシールが入る溝に紙を切ったものを挟み、シールがクランクをきつく押さえるように工夫しました」とOH時の秘策を教えてくれた。

 今回はG7型の腰下部だったが、次回はヘッド部などを解説する。


>>【画像15枚】クランクにもマークがあった。いびつなハート形は「M」の文字で、「プリンスモーター」の頭文字をデザインされたもの。外側はもちろん、内部にもプリンスの『P』マークがいたるところに入っていたエンジンなど



G7型エンジンのピストンは、形状が真円のため、熱膨張を考慮してスカート部にスリットが設けられているのが特徴。





ピストントップ部分が盛り上がっている形状になっているのが54B用の特徴。54Aの圧縮比が8.8なのに対し、54Bは9.3まで上げている。





ブロックから取り外したクランク、ピストン&コンロッド。クランクシャフトはL型よりも太いものが使われていて、クランクキーは最初から1本キー仕様になっている。




初出:ノスタルジックヒーロー 2017年2月号 vol.179(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

プリンスがS54B用に開発した、ハイコンプ仕様のG7型エンジン(全3記事)

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【1】【2】から続く

photo & text :珍車秘宝館 館長

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